2019.03.18 シネマde憲法

東日本大震災、障害のある人と支援者を描いた「星に語りて ~ Starry Sky ~」のご案内

坂下 共さん(きょうされん 事務局次長)



8年が経った東日本大震災。1万8千人を超える死者・行方不明者を出した未曾有の災害において、障害のある人の死亡率が、全住民に比べて2倍であった事実は、あまり知られていません。

避難所で白い目を向けられることを逃れて車中泊した自閉症の人、バリアの多い避難所生活を諦めて半壊の自宅に戻らざるを得なかった身体障害のある夫婦など、震災の被害が幾重にも押し寄せたのです。

障害のある人やお年寄りなど災害時に支援を必要とする人たちは、災害のなかでいかに生きのびるか。

知的障害や精神障害、身体障害などそれぞれの生きづらさはどこにあるのか。

被災地を取材し、証言者たちの実話をもとに、その知られざる実情をフィクションとして描いた物語です。

 

脚本は自らも被災を経験し、長きに渡り第一線で活躍し続ける漫画家の山本おさむ氏が務め、メガホンを取ったのは、大林宣彦監督作品の監督捕にも従事し、ドキュメンタリードラマや短篇映画での台頭が著しい、新進気鋭の松本動(ゆるぐ)監督。

"大震災" "大津波" "原発事故" この3つをテーマに映画が創れるのは、世界中でも日本だけですが、そこに "障害のある人" に焦点をあてた映画は、この「星に語りて~Starry Sky~」が初であるのは間違いありません。

映画はバリアフリー上映対応で、障害の有無に関わらず鑑賞が可能となっており、日本だけでなく、世界中の人に届けたいという、強いメッセージが込められた骨太の作品です。

 

今作は、全国にある共同作業所をはじめ、グループホームや相談支援事業所など、障害のある人が生きていく上で関わる事業を対象に、障害のある人々の労働や権利の保障を目指し、活動を続けている団体『きょうされん』の、結成40周年記念映画となっています。各地での自主上映を中心に、劇場などでの一般公開も順次控えています。

ぜひご覧いただき、障害のある人だけでなく、すべての人の問題として、考えていただければと思います。

【作品紹介】

「星に語りて~Starry Sky~」(2019年/DCP/カラー/5.1ch/アメリカンビスタ/115分)※バリアフリー上映対応

《あらすじ》

岩手県陸前高田市の共同作業所『あおぎり』は、津波の直接的な被害からは免れたが、仲間の一人を失い落胆する利用者たちを、女性の所長が励ましながら、一日も早く障害のある人が日常を取り戻せる様に歩み始めていた。

そんな中、全国障害者ネットワークでは、日本各地のグループが連携して支援活動を始めようとした矢先、「障害者が消えた」という情報が入り、避難所を回っても障害のある人がほとんど居ないという不可思議な現実に直面する。

一方、福島県の南相馬市では、原発事故により避難を余儀なくされていたが、共同作業所『クロスロードハウス』の代表らは、避難出来ずに取り残された障害のある人たちを、放射能の危険と闘いながら支援を続けており、安否確認のための障害のある人の情報が必要だったが、個人情報保護を理由に開示されなかったのである。

法律により守られる人権は支援の障壁となり、一刻を争う人命救助との狭間で苦しむ支援員たちと、被災した障害のある人たちの知られざる実情とは・・・。

 

《出演者》

要田禎子、螢雪次朗、今谷フトシ、植木紀世彦、枝光利雄、菅井 玲、入江 崇史、宮川浩明、生島ヒロシ、赤塚真人、他

 

《スタッフ》

製作統括:西村直、企画:藤井克徳、脚本:山本おさむ、音楽:小林洋平、プロデューサー:新井英夫、撮影:鈴木雅也、

照明:古橋孝映、録音:西岡正巳、美術:津留啓亮、編集:古賀陽一、スクリプター:山下千鶴、ヘアメイク:清水美穂、

衣裳:杉本京加、ラインプロデューサー:赤間俊秀、助監督:佐藤吏、制作担当:富田政男

制作プロダクション:ターゲット、製作:きょうされん

監督:松本動

 

【映画公式サイト(きょうされん)】

http://www.kyosaren.or.jp/starrysky/

 

【自主上映詳細】

きょうされん

お問合せ:電話03-5385-2223

メール:zenkoku@kyosaren.or.jp