2009年に裁判員制度が始まり、10年となりました。制度開始から2018年12月までの間に、300万人近くの人が裁判員候補に選ばれています。そのうち8万人を超える人が裁判員または補充裁判員を務めています。裁判員制度はその設計段階から、賛否の議論があり、しかも市民の人権や民主主義の拡大をめざす法学者や弁護士の間でも賛否が割れる議論があり、いまも、さまざまな評価があります。
本書は、裁判員経験者の体験談を聞いたり、裁判員裁判に興味・関心のある市民、学生、法学研究者、弁護士、裁判官などが対話する「裁判員ラウンジ」(2014年12月から3か月ごと開催される集会)の内容や裁判員制度の解説や課題を検証したものです。
本書の構成は以下の通りです。
目次
はじめに (飯考行)
第1部 知ろう! 語ろう! 裁判員制度
1 裁判員制度って何だろう(飯考行)
2 裁判員裁判が始まって終わるまで(飯考行)
3 裁判員裁判にたずさわる人びと(裁判員、裁判官、弁護士、臨床心理士、記者)
4 裁判員経験者のその後
(1)裁判員経験者へのアフターケアとその後(飯 考行)
(2)裁判員経験者の交流団体
裁判員ラウンジ(飯考行)
裁判員経験者ネットワーク(牧野 茂)
一般社団法人裁判員ネット(大城 聡)
LJCC Lay Judge Community Club 裁判員経験者によるコミュニティ(田口真義)
市民の裁判員制度めざす会(下澤悦夫)
“裁判員ACT(アクト)”裁判への市民参加を進める会(川畑恵子)
裁判員交流会インカフェ九州(上野朗子)
5 実況中継! 裁判員ラウンジ
裁判員は見た!
ラウンジにほえろ!
裁判員あるある
第2部 もっと知りたい! 裁判員制度
司法への国民参加 — 裁判員制度施行10年目に足もとを見直す(四宮 啓)
裁判員制度をめぐる諸問題
●裁判員制度の課題と展望について(大城 聡)
●取調べビデオ録画について(指宿 信)
●辞退率(職場の理解等)の問題について(飯 考行)
●裁判員制度をめぐる報道のあり方について(杉崎千春)
●ベルギーから見た裁判員制度(ディミトリ・ヴァンオーヴェルベーク、訳:飯 考行)
●裁判員教育の取り組み(平野 潔)
裁判員裁判における主な判例
●裁判員制度施行後の判例の動向について(竹田昌広)
●チョコレート缶事件(浦﨑寛泰)
●今市事件(平山真理)
結びにかえて 裁判員に関する重要な2つの課題とその解決案(牧野 茂)
附録 裁判員制度に関する補足情報
ほかにコラムあり。
【書籍情報】2019年4月、日本評論社。編著者は飯考行、裁判員ラウンジ。1700円+税。
【関連書籍・論文・HP】
裁判員経験の共有と活発な議論を
裁判員制度の9年間を考える〜裁判員経験者からの提言
裁判所の廷吏さん