2003年、日本はアメリカのイラク戦争をいち早く支持しました。そして、国会でイラク特措法を成立させ、初めて海外の戦地に自衛隊を送りました。当時多くの国民がそれに危惧し、反対運動に立ち上がりました。そして全国各地で自衛隊の派遣は憲法9条に違反するとして提訴が行われました。名古屋での訴訟には3000人を超える人々が原告になり、そして2008年、名古屋高裁で自衛隊のイラクでの米兵輸送は憲法9条に違反するとの判決が出されました。そして、自衛隊はイラクから撤退することになりました。
この名古屋高裁判決の内容と画期的な意義、憲法9条を実現していくために活用できること・すべきことなどを、この裁判の弁護団事務局長を務めた川口創弁護士が明らかにする書です。一緒にたたかった作家・大塚英志さんとのやりとりによって、市民にわかりやすい記述になっています。
9条は日本国憲法の最大の特長ですが、日本政府はこの規定の解釈を歪めて運用してきました。しかし、国民はその改定は許さず、その理念を守り実現する努力を続けてきました。名古屋高裁判決はその重要な成果であり、今後のたたかいに活かされなければなりません。多くの人々に読んでもらいたい本です。川口さんたちのたたかいとその思いにも学ぶことが多くあります。
【書籍情報】
2009年、角川書店から刊行。著者は大塚英志さん(評論家・まんが原作者)・川口創さん(弁護士)。定価は1,500円+税。
<法学館憲法研究所事務局から>
上記のように、自衛隊のイラク派兵差止訴訟をたたかい、違憲判決をかちとった川口創弁護士が当研究所の公開研究会「集団的自衛権の違憲性」(1月31日(土)開催)で講演します。この公開研究会に多くの方々に参加していただき、9条を守り活かす課題をともに考えていきたいと思います。
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