<前回からの続き>
高見勝利・上智大教授(憲法学)は、政府が集団的自衛権行使を容認する際に、砂川事件最高裁判決と1972年の政府見解を論拠にしていることについて、それがいかに論理的整合性に欠けるかを明らかにしています。
高橋和之・東大名誉教授(憲法学)は、政府が憲法解釈をするということの意味やその限界を根源的に考察した上で、集団的自衛権についての解釈変更は立憲主義に反すると結論づけています。
中野晃一・上智大教授(比較政治学)は、安倍政権の政策はグローバル企業の利益の擁護を目的にしていると分析し、西崎文子・東大教授(アメリカ外交史)は、集団的自衛権行使容認は国連の存在と原則を揺るがす意味を持っていると警鐘を発しています。前泊博盛・沖縄国際大教授(沖縄経済論)は沖縄をめぐる現状から安倍政権の動きを批判し、岡野八代・同志社大教授(フェミニズム政治理論)は安全保障という概念をめぐる歴史を振り返りながら集団的自衛権の問題を論じています。
本書に収められている、阪田雅裕・元内閣法制局長官、丹羽宇一郎・前駐中国特命全権大使、村上誠一郎・衆議院議員(自民党・元行革担当相)、北澤俊美・衆議院議員(民主党・元防衛相)のインタビュー録も興味深い内容になっています。
【書籍情報】
2014年7月、岩波書店から刊行。編者は奥平康弘・東大名誉教授と山口二郎・法政大教授。定価は本体 1,900円 + 税。
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