安倍政権による集団的自衛権行使容認の閣議決定(7月1日)の意味と危険性を、政治学、国際法学、憲法学、平和学の立場から理論的に分析し、市民に説く、タイムリーな書です。民主主義科学者協会法律部会が開催したシンポジウムでの報告内容に、上記閣議決定と決定をめぐる状況の分析も加筆されています。
渡辺治・一橋大名誉教授による「安倍政権の改憲・軍事大国化構想の中の集団的自衛権」は、これまでの保守政権とは質の異なる安倍政権の危険性を明らかにしつつ、同時に、そこにある矛盾もえぐり出しています。
山形英郎・名古屋大教授による「国際法から見た集団的自衛権行使容認の問題点」は、国際法における自衛権・集団的自衛権の解釈を理論的に整理し、このことについての日本政府の解釈変更の問題点に切り込んでいます。
浦田一郎・明治大教授による「集団的はどのように議論されてきたか」は、自衛権、集団的自衛権についてのこれまでの政府の解釈の推移を整理・分析しつつ、安倍政権による解釈変更の誤りを指摘しています。
君島東彦・立命館大教授による「東アジア平和秩序への道筋」は、米国・中国の防衛政策の動向を分析しつつ、世界の平和運動の具体的状況と展望を示しています。
小沢隆一・東京慈恵会医大教授による「集団的自衛権の行使容認をめぐる最近の動向について」は、集団的自衛権の「限定容認」論の意味と危険性を明らかにしながら、同時に、安倍政権による様々な"9条の掘り崩し"の動きに警戒すべきことを説いています。
【書籍情報】
2014年8月、日本評論社から「別冊法学セミナー」として刊行。著者は渡辺治、山形英郎、浦田一郎、君島東彦、小沢隆一の各氏。定価は本体1400円+税。
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