「平和憲法ネットワーク・やまぐち」が毎年開催してきた憲法講演会の講演録集です。
憲法学者・奥平康弘さんは、少なくない日本人が天皇制イデオロギーの影響を受けている社会状況などをあぶり出しながら、国民一人ひとりに、この社会をどうとらえ、生きていくのかという問いを、穏やかな口調ではありますが突きつけています。
哲学者・高橋哲哉さんは、日本社会における靖国神社の意味を掘り下げながら、表現の自由や政教分離を謳った日本国憲法を改悪しようとする動きを厳しく批判します。
歴史学者・纐纈厚さんは、事実上国防軍化してきている自衛隊の実態と国防思想喚起の動きに警鐘を鳴らし、ジャーナリスト・西山太吉さんは戦後日本の外交・防衛政策の展開を分析しながら、こんにちの政策動向を批判します。女性学・ジェンダー研究者の三宅義子さんは自衛官合祀拒否訴訟とその原告・中谷康子さんのたたかいを素材に憲法24条を守る重要性を説きます。映画監督・ジャン・ユンカーマンさんは世界から見た日本国憲法の意義を語っています。社会運動家・湯浅誠さんは、日本社会における貧困と差別がいよいよ深刻な問題になっていることとその背景、そしてその打開への課題を提起しています。
いずれも重要な問題提起が、語り言葉で綴られており、読みやすい本になっています。憲法「改正」の動きが活発化している今、日本国憲法の内容とその積極的理念について考える本として広がって欲しいと思います。
【書籍情報】
2013年4月、日本評論社から刊行。「平和憲法ネットワーク・やまぐち」が監修。定価は1,890円(税込み)。
<法学館憲法研究所事務局から>
当研究所は今般の憲法「改正」も動きに対して、DVD「STOP戦争への道」を製作し、普及する取り組みを進めています。こちら。読者の皆さんにもご協力いただければと思います。
|