1997年、水島朝穂教授(早大)はホームページ「平和憲法のメッセージ」を開設しました。以降水島教授は毎週欠かさず、いまも「直言」というエッセーを発信し続けています。本書にはこの「直言」の2003年までの約6年分の中から、71本が精選して収録されています。
水島教授は、ずっと社会に惹起する重要な出来事を論評してきたわけですが、それはいずれも憲法の規定と考え方に照らすものとなっています。それは、様々な現場に実際に足を運び、様々な人々と交流するなかで培われた、水島教授の"憲法感覚"にもとづくもので、あちこちで、はっとさせられたり、なるほどと感心させられたりします。
この時期、日本社会は大きな変動期だったといえます。1990年代、東西冷戦が終結しましたが、湾岸戦争が始まる中で、日本の自衛隊を海外に派遣していこうという動きが強まりました。日米安保が再定義され、日本の自衛隊が米軍とともに海外に出動する法整備の検討が始まります。そして、2001年に「9・11テロ」が発生し、アメリカが対テロ戦争に突入していくことになります。日本有事の際の法整備の検討も始まります。本書はこうした動きを迅速・的確にウオッチングしており、この時期の社会・政治の雰囲気を思い起こさせてくれます。
本書では、新たな国際情勢が推移する中で、日本と同じく第二次世界大戦の敗戦国であるドイツがどのような対応をしたのかも綴られています。日本との対比で多くのことを発見させてくれます。
興味深いグッスや写真も満載で、読みやすい本です。
【書籍情報】
2003年、高文研から刊行。著者は水島朝穂・早大教授(=法学館憲法研究所客員研究員)。定価は本体2,200円+税。
<法学館憲法研究所事務局から>
9月15日(土)、「平和と憲法 − "武力なき平和"のリアリティ」と題して水島朝穂氏(早稲田大教授)が講演し、当研究所の浦部法穂顧問(=神戸大学名誉教授)と対談します。こちら。日本国憲法の平和主義についての第一人者の話を多くの方々に聴いていただきたく、ご案内します。
* 水島朝穂教授の「平和憲法のメッセージ」
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