東日本大震災による原発事故の被害は多方面にわたっています。地震や津波による被害に比べ、原発被害からの復興は、さらに長期にわたることになるでしょう。
日本国憲法は、この状況に対してどのような役割をはたすことができるのでしょうか。
当論稿は、「2011年憲法講座」(10月1日開催。主催は憲法会議。)での、財政学・地方財政論が専門の清水修二・福島大学副学長の講演を加筆したものです。憲法の条文に照らしながら、福島での原発事故被害の具体的状況や復興の課題を明らかにしています。憲法前文から始まり、13条の幸福追求権、17条の賠償請求権、22条の「居住、職業選択の自由」、25条の「健康で文化的最低限度の生活を営む権利」、26条の「教育を受ける権利」、27条の「勤労の権利」、29条の「財産権」、92条の「地方自治」、を現場で見て知りえた現実と結びつけて論じます。
いま、現場を知らない第三者の言動で被災者が傷ついたり、風評被害にもあっています。被災者への接し方や被災者の立場になって考えることの難しさを改めて考えさせられます。
【論稿情報】月刊「憲法運動」第405号(2011年11月、憲法会議が発行。)所収。
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