1955年から始まった東京都北多摩郡砂川町(現在は立川市)の米軍立川基地の拡張に反対する運動の様子の写真集です。
米国はアジアでの軍事的影響力を維持するため、日本の独立回復後も日本に基地をおき、その拡張をはかりました。砂川町の住民は基地の拡張に断固反対する運動を始めました。
1957年、基地拡張に反対するデモに参加した7名が基地内に入ったとして逮捕、起訴されました。この裁判で、東京地裁は、米軍の駐留は憲法に違反するとしました(裁判長の名前をとって伊達判決と呼ばれます)。ところが、国は高裁を飛び越し最高裁に跳躍上告し、最高裁大法廷はわずか8ヵ月後に、米軍駐留についての憲法判断を回避する判決をしました。こうして伊達判決は破棄されましたが、住民の粘り強い運動によって、立川基地は1977年に米軍から正式に返還されました。この写真集は憲法9条の実現に向けた多くの人たちの取り組みの重要性を実感させてくれます。
なお、伊達判決直後に駐日米国大使が外相および最高裁長官などと会談し、米国大使が伊達判決を問題視し、最高裁へ飛躍上告するよう示唆しました。この写真集にはその公文書の一部も掲載されています。
【書籍情報】星紀市・砂川を記録する会編 ヤマス文房 2010年12月刊行 税込2,625円(本体2,500円)
* 先般、当サイトの「今週の一言」のページで内藤功弁護士の「憲法9条をめぐる攻防とこれからの課題@」を掲載しましたが、砂川闘争と裁判についても語られていますので、ご案内します。
* 砂川事件については、当サイトの「ときの話題と憲法・1959年」もご参照下さい。 |