日本では住所が異なるだけで、国政選挙で投じる1票の価値が不平等になるという事態が全国各地で起きています。 人口25万人につき議員1人という地域(例えば高知3区)の住民が投じた1票に対して、人口52万人につき議員1人という地域(例えば東京1区)の住民が投じた票はその半分の価値しかありません。このような状況を「一票の格差」と呼びます。 本書は、日本における「1票の格差」問題を具体的に説明し、民主主義国家として成熟するためにこの問題を解決しなければいけないことを問題提起します。 著者の3人の弁護士は、問題解決を実現するために2009年の衆議院選挙、2010年の参議院選挙に関して、議員定数不均衡の問題から無効を求める訴訟を行っています。 衆議院選挙に関しては、すでに7高裁1高裁支部が合計9つの判決を下していますが、9つの高裁判決のうち4つが、違憲・違法判決、3つが違憲状態判決、2つが合憲判決です。全て上告され、現在最高裁に係属しています。 本書は、法律家以外の方でもこの問題についてわかりやすく理解できるように充実した「Q&A」集が盛り込まれているとともに、最高裁に提出された上告理由書が全文巻末に載せられていますので、どなたでもこの問題をしっかり掴むことができます。 「清き1票」を持っている社会を実現することが、いかに大切なことなのか実感できる内容です。 【書籍情報】2010年8月、現代人文社から刊行。価格:800円(消費税込み840円)。著者は升永英俊さん、久保利英明さん、伊藤真さん、田上純さん(編著)。 <法学館憲法研究所事務局より> 法学館憲法研究所のWEBサイトに搭載している「憲法文献データベース」では「参政権」「選挙制度」などのキーワードや著者・執筆者別に憲法関連文献を検索できますので、ご案内します。
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