イラクでの自衛隊の活動について名古屋高等裁判所で違憲判決が出され、2年がたちました。 「イラク派兵差止訴訟」の原告は、裁判に際して、「イラク復興支援派遣輸送航空隊」の空輸活動を報告した文書「週間空輸実績(報告)」の情報公開請求をしました。 しかし、開示された内容の大半は黒く塗りつぶされていました。その輸送内容の実態はほとんど開示されないまま、判決を迎えました。 この文書は2009年10月、政権交代によって、全面開示されました。 本書は、その内容を「イラク派兵差止訴訟」原告・弁護団有志チームと大垣さなゑさんによって編著されました。 当初政府は空輸していたものの中心は「人道復興支援」のためのものだと説明していました。ところが、文書の全面開示によって実際には米軍を中心とした多国籍軍兵士の輸送だったことが、明らかになりました。 イラク航空隊の「週間空輸実績(報告)」は憲法違反の事実を明らかした記録といえ、名古屋高裁判決の妥当性をさらに補強したものになりました。 本書では、米軍兵士の証言により、交戦規則が頻繁に変更され、敵とはいえないイラク人の射殺や逮捕など、異常ともいえる命令が下される実態も明らかにしています。 2007年の改正イラク復興特措法成立の際の附帯決議には「イラク戦争を支持した当時の政府判断について検証を行う」ことが明記されています。 いまこそ、この附帯決議を実行し、同じ過ちを繰り返さないことが必要です。 当ホームページ「今週の一言」の「今こそイラク戦争の検証を―平和憲法を持つ国のケジメとして」(2010年3月8日)「おおいに語ろう、自衛隊イラク派兵違憲判決(前編)」(2008年8月25日)「おおいに語ろう、自衛隊イラク派兵違憲判決(後編)」(2008年9月1日)もあわせて、ご覧ください。 *当研究所も協力して完成した中高生向け憲法映像教材「中高生のための映像教材『憲法を観る』では、名古屋高裁違憲判決にかかわる映像も収録されていますので、ご案内します。関連ページ 【書籍情報】 「イラク派兵差止訴訟」原告・弁護団有志チーム 編 大垣さなゑ著 せせらぎ出版 2010年5月刊行 定価600円(本体571円) |