自衛隊員が日本の防衛のために体を張り、その結果命を落としている・・・ということではなく、職場で自殺や事故が頻発している、という本です。
航空自衛隊のトップが憲法を否定する内容の「論文」を発表し罷免されましたが、いま自衛隊には様々な問題状況があるようです。しかも、大変深刻のようです。
自衛隊員の不祥事はときどき報道されてきましたが、自衛隊員の自殺・不明者が年間100人を超える事態になっていることには驚かされます。どこの職場にも様々な問題状況があるでしょうが、自殺・不明者が年間100人超という数字は異常です。自衛隊という職場はいま最も悪い職場環境にあるといえるでしょう。
この本からは、多くの若者が自衛隊に就職している様子も描かれています。地方には働く場がなく、その結果多くの若者たちが自衛隊に就職しています。ところが、この本に出てくる自衛隊の職場は、若い隊員たちを育成していこうという能力にも意欲にも欠けています。自衛隊の職場には上意下達が横行し、幹部の腐敗が進んでいます。
こんにちの自衛隊の職場の状況は、田母神前空幕長のような人が出てきた背景にもなっていると思われます。自衛隊というものについて改めて考える機会にしたいものです。
【書籍情報】著者はジャーナリスト・三宅勝久氏。2008年5月、花伝社から刊行。定価(本体1500円+税)
*自衛隊に関わる著書・論文は当サイトに収載している「憲法文献データベース」で検索できますので、ご案内します。
|