戦後、国民の中に、「君が代」に代わる新しい国歌をつくろうという機運が盛り上がり、新国民歌「われら愛す」がつくられました。「われら愛す」が国歌になることはありませんでしたが、国民が平和憲法の制定を歓迎する状況の中で「われら愛す」がつくられ、そして歌われたのでした。このことについては、この本の著者・生井弘明さんが前著『われら愛す −憲法の心を歌った“幻の国歌”』を著した際に当サイトで語ってくださいました。
生井さんの前著の刊行は「われら愛す」を多くの人々に思い出させ、そして当時の国民の平和への願いをあらためて思い起こそうというウエーブになりました。本書は生井さんがそのウエーブと、そしてその中で「われら愛す」をめぐる当時の様々なエピソードが掘り起こされてきている様子を記録したものです。
日本国憲法とその平和主義の考え方が軽視されたり、無視されることが少なくない社会状況にあります。こうした状況の中で、当研究所は日本国憲法が果たしてきた役割や憲法を守り活かす先人たちのたたかいを学び広げる立場からドキュメンタリー映画「戦争をしない国 日本」の製作・普及をすすめています(11月1日からDVDの販売が始まります)。それは「われら愛す」を思い起こしながら平和を考えようという生井さんの考えとも共通するものです。
生井さんのこの本の刊行がさらなる平和へのウエーブにつながっていくことが期待されます。
【書籍情報】2008年10月、かもがわ出版から刊行。定価(本体1500円)+税。
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