法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>

 

映画『終焉までの30秒』(原題:Thirty Seconds to Midnight)


花崎 哲さん(憲法を考える映画の会)
                                                           


 「こういう映画がほしかった。これは使える!」平和を願って活動している人はきっとそう思うでしょう。「なぜ戦争になるのか?」「誰が戦争を起こすのか?」を知りたい、そして明確に伝えたいと思うからです。
 「戦争」だけではありません。環境破壊、あるいは地球全体を汚染し破滅につながる核エネルギーの問題も、原因になるものが同じものであることを映画は明確に指摘します。
 それは資本主義、軍事主義の論理であり、権益を集中させた特権階級の横暴であり、それらによって近現代を動かしてきたアメリカという巨大国です。そのことをまだ何も気づかないでいる人たちに伝え、何とかしなければと考えてもらおうとする時に、この映画はとても役に立つものであると感じるでしょう。

 時は16世紀。西欧人によるアメリカ大陸への入植が始まり、探検と開拓の名の下に、先住民族に対する領土略奪と虐殺が繰り返されました。生き残った先住民族は奴隷化され、領土は西方へと拡大されていきました。力の争いを拠り所にした国家建設のイデオロギーは、世界支配への衝動と帝国的軍事主義を成長させ、人類全体を絶滅に追いやるに足る軍事兵器を作り出しました。世界の終焉を告げる時計の針は、こうした過程の中で動き出したと、レジス・トレンブリー監督はとらえています。(映画『終焉までの30秒』案内チラシより)

 監督のレジス・トレンブリーさんは、米国退役軍人団体「ベテランズ・フォー・ピース」のメンバーでもあります。従軍という体験を通して「どうして戦争が起きるのか?」「誰が戦争を起こすのか?」「戦争を起こさないようにするにはどうしたら良いのか」を考え続けて、平和のための運動に参加し、こうした映画を通してその活動に役立ててきたのでしょう。

 映画の多くは、そうした監督の問いに答えるインタビューで構成されています。そこに衝撃的なアメリカの侵略の歴史、戦争を証拠づける写真や映像が挿入されていきます。私たちも断片的に知っていた歴史の事実が実は大きな力によって動かされ、過去から現在、そうしておそらく未来においても私たちの生命や生活を脅かし続けるであろうことを気づかされます。そういう視点からは、世界の戦争・紛争を見て来なかったことに気づき目からウロコの思いがします。
 
 たとえばウクライナ、クリミア半島をめぐるロシアとアメリカの対立、「そこで何があったか」も十分な関心をもっていなかったし、「何がそれを引き起こしたのか」も一面からしか見ていなかったことに気づかさせられます。
 もちろん別の立場、つまりアメリカから見れば、別の理屈はあり、そしてその理屈の方が私たちの一般的な知識、情報ですが、それが一面的であったことに映画を見て気がつきます。
 そう気がつくことによって、私たちはロシアや、中国、北朝鮮、中東の国々に対して、あるいはそれぞれの政治や指導者に対して持っているイメージや、意識がすでに作られていることに気づいてしまうのです。一面からの意図をもった膨大な情報によって押し流されていることがわかります。

 「日本も含むさまざまな米軍ホスト国、かつてのソ連の衛星国、米国で行われたインタビューは、これまで日々の主要メディアの報道とは真逆の事実を伝えます。」と映画の解説にもあります。あらためて私たちは戦争や紛争をつくり出すものが何であるか、侵略を受け、戦争によって苦しんだ少数の側から見て、考えていかなければならないということを強く感じます。

【スタッフ】
監督・製作・撮影:レジス・トレンブリー
編集:ポール・ミショード・ジュニア

【キャスト】
レジス・トレンブリー
ヘレン・カルディコット
デイビット・バイン
ブルース・ギャグノン
2016年/アメリカ映画/86分

【上映情報】
10月26日19:30-高円寺Grain、
10月27日-11月2日10:00,18:10横浜シネマリンで上映
* この映画『終焉までの30秒』はDVDを購入して自分たちで上映会ができる映画です。
問合せ:eigodego@gmeil.com(レイチェル・クラークさん)


 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]