瓜二つの男がいる。一人はユダヤ人として迫害される床屋。一人は世界制服を目指し、ユダヤ人を迫害する、国の独裁者。独裁者はやがて隣国も征服する。ところがその地で独裁者は、その風貌からユダヤ人である床屋に間違えられる。一方床屋も独裁者と間違えられ……。
このように奇想天外な設定と展開で、また演技のコミカルさなど、そのエンターテーメント性は観る者を唸らせます。
この映画の価値はその面白さ・楽しさと同時に、当時吹き荒れていたファシズムの危うさ・恐ろしさを徹底的に暴き批判したことにあるといえるでしょう。この映画が製作されたのは1930年代後半です。ドイツのヒトラーが猛威を振るっていた、まさにその時期でした。ヒトラーの独裁振りを痛烈に風刺し、ファシズムに立ち向かったわけで、驚かされます。チャップリン映画の最高傑作の一つであること、間違いないでしょう。
ワイマール憲法を葬り去って独裁体制を確立したヒトラーの政治にこんにちの日本の政治が酷似してきていると指摘されます。そういう時期だけに、この映画は観る者に憲法を無視する悪政に抗う勇気を与えてくれます。
【映画情報】
製作国:アメリカ
製作年:1940年
上映時間:126分
監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン、ジャック・オーキー、ポーレット・ゴダード、ほか
<法学館憲法研究所事務局から>
こんにちの日本の政治の問題点を真正面から暴く作品として「STOP戦争への道」があります。ご案内します。
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