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ジャン・ユンカーマン監督の「監督の言葉」の中から、この映画の紹介をさせていただきます。
「沖縄の実態の一つは、この映画の英語タイトル"The Afterburn"が象徴しています。『アフターバーン』とは、炎が消えた後も火傷が深くなっていくことです。沖縄戦を体験した人々は、まさにそうしたトラウマと共に生きてきました。元米兵もそうです。元日本兵もそうです。
そしてとくに、4人に一人が亡くなった沖縄の人々にとって、沖縄戦は今も続いているのです。
想像も付かないほどの戦争体験をした沖縄の人々は、一貫して戦争を拒絶してきました。米軍も沖縄戦では同じ血を流しました。しかし沖縄を『戦利品』として扱い、膨大な基地を建設。それらを拠点として、朝鮮、ベトナム、中東で戦争を続けてきました。平和を求める沖縄の文化と、戦争を選ぶアメリカの文化──。対極にある二つの文化が、狭い島に共存せざるを得なくなったのです。
何の武器も持たない沖縄の人々が、世界で一番強大な軍隊をもつアメリカに対して、反戦・反基地の闘いを始めました。そして1950年代の島ぐるみの闘争から、普天間基地の辺野古移設反対闘争まで、不屈の精神で闘い続けています。
私は1975年に初めてその精神に触れ、深い感銘を受けました。そして強い尊敬の念を抱きました。以来40年がたった今、不屈の精神はいっそう強固となり、さらに広がりつつあります。まさにそれこそが、私が世界に伝えたい、もうひとつの沖縄の実態です。私はそれをこの映画のタイトル『うりずんの雨』に込めたつもりです。
米軍基地を撤廃するためのたたかいは今後も長く続くでしょう。沖縄の人々は決してあきらめないでしょう。しかし、沖縄を戦利品としての運命から解放する責任を負っているのは、沖縄の人々ではありません。アメリカの市民、そして日本の市民です。その責任をどう負っていくのか、問われているのは私たちなのです。
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「私たちは沖縄のことをどれくらい知っているのだろう?」映画の案内チラシの裏面にもそう書かれていますが、正直、それが私の映画を観た時の偽らない気持ちでした。
日本国民、とくに本土の人間が観るべき映画です。安倍首相は是非、オバマ大統領と一緒に見て考えて欲しいと思いました。アメリカの市民にも見て考えて欲しい映画です。アメリカと日本いう国は70年以上もこのような歴史を続けてよい国なのかと。この映画によって、沖縄の戦争と、「戦後」と、いまを知ることを通してはじめて日本とアメリカの市民は、自分たちが何をしてきたのかを理解することができるのではないでしょうか。
映画を観て、私たちが戦後できないまま来てしまった「日本国憲法を実現し、自分たちのものにする闘い」が沖縄にこそあるのではないか、と思いました。
【映画情報】
監督:ジャン・ユンカーマン 製作:シグロ
公開:2015年6月 上映時間:本編2時間28分
公式サイト:http://okinawa-urizun.com/
【上映情報】
日時:6月20日(土)〜 上映:東京・岩波ホール/沖縄・桜坂劇場ほか、全国順次公開
【お問い合わせ】
シグロ TEL 03-5343-3101 FAX 03-5343-3102 siglo@cine.co.jp
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