長崎に暮らす一家の北海道への移住の決意、汽車で北海道に向かう姿を描く映画です。
新たな生活への不安から旅の途中にも夫婦間にいろいろと波風が立ちます。旅の途中でわが子を失うという悲劇にも見舞われます。しかし、親や兄弟などの励ましも受けながら、夫婦は絆を強めていきます。家族の愛がじんわりと伝わってきます。
この映画は1970年に公開されました。その時代と比べ、こんにちの家族をめぐる状況は大きく変わってきています。多くの若者が定職に就けず、経済的理由で家庭を持つことすら困難になってきています。定職に就けた若者の多くも過酷な労働環境に疲弊し、豊かな家庭生活を送ることができない状況にあります。こうした状況を抜本的に改善し、若者の雇用と人間的な生活を保障し、少なくとも若者が経済的理由などで家庭を持つこともできない状況はなくしていきたいものです。憲法27条の勤労権の実現はこんにちの社会の喫緊の課題の一つでしょう。映画に映される家族の姿を見て、そんなことを感じました。
【映画情報】
公開年:1970年
上映時間:106分
監督:山田洋次
出演:倍賞千恵子、井川比佐志、笠智衆
<法学館憲法研究所事務局から>
この映画の監督・山田洋次さんは当研究所が事務局を担当している、シリーズ「憲法とともに歩む」製作委員会(ドキュメンタリー映画「戦争をしない国 日本」や「STOP戦争への道」などを製作)の呼びかけ人になっていただいています。
|