戦時中に「陸軍省後援 情報局國民映画」として製作され、1944年に公開された映画です。
日本が日清戦争で勝利するもロシアなど欧米諸国の理不尽な要求に屈せざるを得なかった、その後日露戦争でも勝利した日本は欧米列強のアジア進出の中で中国などでの戦争を余儀なくされた、しかし日本軍は日本国民全体の協力の中で果敢に戦ってきている・・・。日本はそのような歴史を辿ってきたということが描かれています。映像のほとんどは、父、子、孫の三世代の日常的な生活の場面であり、それは人々が軍と戦争に協力していた様子となっています。
基本的には国策映画であり、天皇の軍隊への国民の協力を確固たるものする狙いのもとに製作されたと言えるでしょう。上記のように歴史の辿ることも一面的だと言えるでしょう。
なお、母親が誇りを持って子ども軍隊に送り出す様子が出てきますが、実際には悲しく思っていることがわかるような描写もあります。実際にそのようなところもあったからでしょう。当時の軍はそのようなシーンをこころよく思わなかったようで、その結果木下監督は以後映画製作が出来なくなってしまったそうです。今年木下惠介生誕100年記念映画として公開になった「はじまりのみち」はそのような出来事をもとに作られたそうです。余談ですが、なるほどと思いました。「はじまりのみち」も観てみたいと思います。
【映画情報】
公開年:1944年。
上映時間:87分。
監督:木下惠介。
出演:笠智衆、田中絹代、東野英治郎、上原謙、ほか。
<法学館憲法研究所事務局から>
「法学館憲法研究所2013憲法フォーラム」第3回「憲法9条を守るということ」(12月9日(月))です。戦争と軍隊を否定するものとして制定された日本国憲法9条を変えようとする動きをどう考えるか、伊藤真所長、森英樹・名古屋大学名誉教授とともに議論したいと思います。多くの方々にご参加いただきたいと思います。 |