富国強兵政策をとった明治政府は朝鮮半島と大陸への進出をはじめ、そのために戦争反対や人権擁護を唱える人々を弾圧していくことになりました。その弾圧事件として知られる大逆事件を描いたドキュメンタリーです。
1910年に大逆罪を理由に逮捕された幸徳秋水らは非公開の法廷で裁かれ、翌年には12名が死刑になり、執行されました。映画はこの事件が、社会主義者、無政府主義者に対する弾圧に他ならないものであったことを明らかにしています。
死刑となった人たちは天皇に対するテロを計画したとして、世間から非難の目で見られました。しかし、その人たちの多くは、実は当時貧困や差別をなくし、自由・平等・博愛の理念のもと、平和な社会をつくろうとした人々でした。その中には僧籍の人などもいて、教団から追われたりしましたが、1990年代になってようやく教団の側が僧侶の名誉回復・復権を始めました。連座した人々の出身地でも顕彰運動が起き、人権回復がなされてきています。映画はこうしたことも描いています。
企画:白井堯子・富田玲子・藤原智子 脚本:藤原智子 演出:田中啓 演出補:山崎欽毅 撮影:松田重箕
CG:田中龍雄 朗読:高橋理恵子 語り:根岸朗 音楽:松島美毅子 制作:千原卓司
企画:「大逆事件」製作委員会 製作:イメージブレーン
※3月16日(土)〜4月5日(金) ポレポレ東中野にて上映されます。
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