先月7日のNHK「クローズアップ現代」は、「働くみんなが"経営者"〜雇用難・不況の時代を切り拓くか?〜」をタイトルに、「協同組合」による「協同労働」という新しい働きかた、生き方を採り上げていました。ここで紹介されていたスペインの協同組合、「モンドラゴン協同組合」は、スーパーマーケットの経営、家電の製造・販売など280を超える事業を手がけ、組合員は、8万3000人にも上り、年々約2000人増加しています。協同労働はイギリス、イタリアなどでもなくてはならない存在になっています。
資本主義経済が効率優先主義で成長に行き詰まり、収入格差、労働者の働き甲斐の喪失、失業などが大問題となり、将来の展望が見えにくくなっている今、日本でも「協同労働」が注目されています。この映画で紹介されている労働者協同組合(ワーカーズコープ)は、労働者自身が主として資金を持ち寄り、平等な立場で事業、経営に参加しつつ労働し、既に5万人がこの形態で働いています。
映画に登場するのは、東京都墨田区のワーカーズコープです。児童館や介護事業など、スタッフが雇う者、雇われる者という関係を乗り越え、自ら仕事を起し、事業計画、報酬等全てを合議制で決め、生き生きと意欲的に働いています。自らが経営の主体なので創意工夫も随所に生かされ、働き甲斐を見出している様子が描かれています。地域社会に溶け込みその力を引出したり行政と連携しながら「まちづくり」「きずなづくり」を行っています。
企画・原案を担当した永戸さんは、「地域レベルからグローバルなレベルまで、富は市場の都合に支配されてきました。しかし、生きる・働く・生活するという点で、本当に顔が見える協同・連帯のネットワークが多重につくられれば、そのメカニズムが市場をコントロールできるのではないでしょうか」と述べています(広井良典編著「協同で仕事をおこす」27ページ)。
【映画情報】
製作・著作:日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団
製作:2012年日本
監督:森康行
企画・原案:永戸祐三
時間:94分
出演:立花児童館スタッフ/いきいきプラザ・高浜和行/あゆみケアサービススタッフ/八広はなみずき児童館スタッフ他
ショートコント:松元ヒロ
上映館:ポレポレ東中野で上映中、他に地域上映会開催中
公式ホームページ
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