公団が工事の発注にあたって特定の企業に便宜をはかり、その見返りを公団幹部が懐に入れる。事件が発覚しそうになると中間管理職がトカゲの尻尾として容赦なく切られる。「悪い奴」の中でもより「悪い奴ほど」安泰で、枕を高くして「よく眠る」。そんな企業社会をめぐる理不尽を暴く映画です。犠牲になった者が復讐をはかり、奇想天外なことが次々と起こる、スリリングな展開に引き込まれます。
多くの国民が真面目に働き生活している一方で、富を築いた者の中に「悪い奴」がいる。憲法は経済活動の自由を謳っていますが、それは「公共の福祉」のために制約されることになっています。この趣旨に則り、刑事法に抵触するような悪行を働く者への取り締まりは強化されるべきです。この映画を観て、あらためて感じました。
【映画情報】
製作年:1960年
上映時間:151分
監督:黒澤明
出演:三船敏郎、加藤武、森雅之、ほか
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