ある青年が他人の家に侵入し、現金を盗もうとしたら、その住民に見つかってしまった。青年は住人を刺し殺し、もう一人も殺してしまった。そして裁判で死刑判決を受けた。死刑囚になった青年に、ある若い女性が差し入れなど身の回りの世話をするようになった。やがて二人はお互いを愛し合うようになっていった。実はその女性は青年に殺された男性の婚約者だった。
そんな話の映画です。ちょっと現実離れした設定の話ですが、筆者としてはこの作品が死刑制度の是非を議論し合う素材にもなって欲しいと感じました。
複数の人間を殺害した者は通常死刑になるようです。私たちは各種報道などを通してそのような殺人者は極悪非道だと思いがちです。もちろん人を殺すことは許されることではありません。しかし、そのような人に科す刑罰は死刑以外にありえないのでしょうか。この映画に出てくる死刑囚が自らの罪を反省する姿を見て、多くの先進国と同じように、日本も死刑制度を見直すべきではないか、と感じました。
なお、この作品はR-15指定の映画です。
【映画情報】
製作年:2009年
上映時間:91分
監督:御徒町凧
出演:尾野真千子、久保田将至、ほか
* この映画はすでにDVDとして販売・レンタルされています。
<法学館憲法研究所事務局から>
法学館憲法研究所は10月8日(月・祝)に「裁判と憲法 −裁判員制度・死刑制度を考える」を開催します。村井敏邦教授が講演し、その後浦部法穂・法学館憲法研究所顧問(=神戸大学名誉教授)と対談します。詳細はこちらからご確認ください。
裁判に市民が参加するようになり、こんにち市民である裁判員が死刑という判断をする場面もあります。死刑制度と裁判について考える意義深い機会になりますので、多くの方々のご参加をお待ちしています。
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