刑務所で働く男が病の妻に先立たれる。妻は死に際して、故郷の海に散骨して欲しいとの遺書をしたためた。男が妻の遺骨とともに、遠いその海に向かって旅立ち、妻の最後の願いを叶える。男は旅の最中にいろいろな人々に出会うが、その人々もまた、それぞれがその人なりの波乱の人生を生きてきた。
こうした話が展開する映画です。男が旅の途中に立ち寄るところの美しい景色にも魅了されます。
人はみな、他の誰とも違う、自分なりの人生を過ごすことになります。夫婦といえどもお互いがお互いのすべてを知ることにはなりません。誰もがいろいろなことに対して、その人なりに悩み、それぞれがいろいろな人の助けを得ながら生きています。人と人との絆の大切さが叫ばれ、この映画でも夫婦の思いやりが描かれています。こうしたことは大事にしたいことです。同時に、一人ひとりの人間が「個人」として自らが自分なりに考え、行動し、そのことを土台にまわりの人々との関係を築き上げていきたいものです。この映画を観て、「すべて国民は、個人として尊重される。」(日本国憲法13条)ということの意味についても人々と語り合いたいと感じました。
【映画情報】
2012年8月公開。
上映時間:111分。
監督:降旗康男
出演:高倉健、田中裕子、佐藤浩市、 、余貴美子、ほか
2012年8月から全国で上映中。
公式サイトはこちら。
<法学館憲法研究所事務局から>
当研究所は9月15日(土)を皮切りにリレー対談「日本社会と憲法」を開催します。こちら。「すべて国民は、個人として尊重される。」(日本国憲法13条)は日本国憲法の最大の価値です。その意味を、社会の基本的問題である、平和や裁判、政治との関連で学び語り合う場になります。多くの方々にご参加いただきたく、ご案内します。
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