高汚染地域とされた福島県飯舘村や川内村に住む人たちへのインタビューをまとめた映画です。農業や酪農を営む方々の話を通して、私たちが自然のいのちとどれほど深く共生してきたか、共生なしには生きられないかを気付かせてくれます。
飯館村の田んぼで無農薬栽培をしてきた主婦は草むしりをしながら言います。「水がなくなると蛙たちの居場所がなくなってしまうから」。田からはウシガエルの鳴き声が聞こえてきます。そこは蛍も集まるところでした。そのような所も、除染しなければなりません。川内村の山奥で自作の太陽光発電で有機で鶏卵している方は、「自分は被害者ではなく原発を止められなかった加害者だ」と言います。
原発の問題に限らず、環境問題も、人間にとっての利害の視点から議論されることが多かったと思います。しかし、地球は人間だけのものではありません。人間よりずっと昔からいのちを育んできた生きものたちのものでもあります。私たちのいのちや生活は、小さな動物や草木などのそれらと繋がっているということ、そういう当たり前の日々が破壊されていることを真剣に考えなければならない時代になっていることを教えてくれる記録です。
【映画情報】
製作:2011年 日本
監督:加藤鉄
企画・制作:東風舎
時間:100分
上映館:東京・ポレポレ東中野ほかにて公開中
公式サイト
<法学館憲法研究所からのご案内>
9月15日(土)、当研究所はリレー対談第一弾として「平和と憲法 − "武力なき平和"のリアリティ」を開催します。日本と世界の平和、そして人々の平和的生存権のこんにちの現実を検証しつつ、「武力なき平和」という日本国憲法の平和主義のリアリティについて考える機会になります。多くの方々にご参加いただきたく、ご案内します。
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