いわさきちひろの絵を見たことない、という人はほとんどいないのではないでしょうか。ちひろの絵本は多くの子どもたちに読まれ、ちひろの挿絵はいろいろな場で見かけます。ちひろの絵の多くは、なんとも愛くるしい子どもたちの姿を、独特の淡い色調・タッチ・雰囲気で表現しています。
ちひろがどのような人生を送り、どのような思いで絵を描き続けたのかを辿るドキュメンタリーです。
ちひろは晩年、当時のベトナム戦争の最中にいた子どもたちを描きました。そこには、戦争をやめ、子どもたちが平和のうちに生きて欲しい、という強いメッセージが込められていたようです。
ちひろは、画家の著作権を守る運動にも積極的に参加しました。表現する人々、芸術にたずさわる人々の権利確立への信念にも感心させられます。
こんにち、貧困な生活を余儀なくされる子どもたちがまた増えてきています。子どもたちが将来への夢を持ちにくい状況にもなってきています。世界に目を転じると、いまなお貧困に喘ぎ、また戦火での生活を強いられている子どもたちが数多くいます。日本国憲法はその前文で、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と明記しています。この課題の実現に向け、多くの人々がさらに一歩を踏み出していくことを、ちひろの絵は呼びかけているように思われます。
【映画情報】
製作年度: 2012年
上映時間: 96分
監督:海南友子
公式サイトはこちら。
*7月14日から東京・大阪などで劇場公開。以降、全国で上映されます。
<法学館憲法研究所からのご案内>
9月15日(土)、当研究所はリレー対談第一弾として「平和と憲法 − "武力なき平和"のリアリティ」を開催します。日本と世界の平和、そして人々の平和的生存権のこんにちの現実を検証しつつ、「武力なき平和」という日本国憲法の平和主義のリアリティについて考える機会になります。多くの方々にご参加いただきたく、ご案内します。
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