死刑を求刑される多くの被告人の弁護にたずさわる安田好弘弁護士。その仕事振りと"死刑弁護人"としての思いが描かれたドキュメンタリーです。死刑判決が出され、世間の注目を集めた様々な事件と裁判、被告人と安田弁護士の姿が映し出されています。
印象的なのは、死刑を求刑される人たちは必ずしも極悪非道な人間ではなく、いろいろな不幸が重なるなかで「犯行」に及んでしまったということ、そして、実際に罪を犯したとは言い切れない例も少なくないこと、などが生々しい証言などで明らかにされていることです。いま、多くの人々が死刑制度を存続させるべきと考えていますが、ぜひそのような方々にもこの映画を観てもらい、本当にそうなのかをともに語り合いたいと思いました。
安田弁護士の弁護士魂も強烈です。死刑判決をくいとめられなかったことを悔いるだけでなく、死刑が執行されてしまったことに対しても安田弁護士は自分を責めます。安田弁護士は依頼人に対して「弁護士」として最善を尽くすのみならず、「人」として付き合っています。被告人の弁護にあたる弁護士の姿はいろいろなところで描かれていますが、臨場感あふれるこの作品は胸を打つものとなっています。
 (C)東海テレビ放送
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【映画情報】
製作年:2012年
製作:東海テレビ放送
上映時間:97分
監督:齊藤潤一
*6月30日より東京・ポレポレ東中野、名古屋シネマテークにて公開中、ほか全国順次公開。
*公式ホームページはこちら。
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