社会的な理不尽を告発する作家であるエミール・ゾラ。その作品はなかなか売れず、きびしい生活が続きますが、やがて人気作家になり、ぜいたくで自堕落な暮らしを始めるようになりました。そんな中で、フランス軍部の腐敗を隠蔽するために軍人ドレフェスが濡れ衣を着せられる事件が発生しました。ゾラはこの事件を・・・。
19世紀の話です。18世紀後半、市民革命によって封建制が倒れ、フランスに自由主義社会が生まれました。しかし、なかなか政治は安定しませんでした。産業革命によって貧富の格差が広がる中で、社会主義思想も生まれはじめます。そして、その時代は国家の正当性を確立していくためにも軍の役割が高まることになっていきました。ドレフェス事件にもそのような背景があったのではないでしょうか。
ゾラという男、ドレフェスという男の人生が興味深く描かれた映画ですが、近代市民革命による近代憲法制定期の社会の様相に思い巡らすことにもなりました。
【映画情報】
製作年:1937年。
製作国:アメリカ。
監督:ウィリアム・ディターレ
出演:ポール・ムニ、ジョゼフ・シルドクラウト、ゲイル・ソンダーガード、ほか
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