人はそれぞれ、いろいろな人生を送り、歳を重ね、死んでいきます。死ぬまで仕事に邁進する人、定年後には趣味に生きる人、身体に支障をきたし、若かった頃を懐かしむ人、連れ合いなどの介護が生活の中心になる人、等々いろいろな人生があります。若い頃の恋愛や結婚、その結果の子どもの出産と成長などによっても人生が大きく左右している人も多いことでしょう。また、そこには伏せておきたい過去を持つ場合もあるでしょう。歳を重ねた、そのような人々の姿を描く映画です。
人々は、太古から、脈々と子孫を産み育て、いまも日々新しい命が誕生し、それぞれの人生がはじまっているのだ、ということも感じさせてくれる作品です。
年老いていく人たちのその姿は、観る人の心の奥底にじわりと残ることになるのではないでしょうか。一人ひとりがかけがいのない存在だということが日本国憲法の基底にある考えですが、そのことの意味を考えさせてくれるかもしれません。
本年5月29日に100歳で死去した映画監督・新藤兼人さんの代表作の一つです。
【映画情報】
製作年:1995年。
上映時間:112分。
脚本・監督:新藤兼人。
出演:杉村春子、乙羽信子、朝霧鏡子、ほか。
第19回日本アカデミー賞などを受賞。
|