人々が集まり賑わう街=東京・渋谷にも路上生活を余儀なくされている人たちがいます。正規労働者がちょっとした事故に巻き込まれて怪我をしてしまい、職を失うことになってしまいました。やむを得ず派遣労働者になるもやがて仕事がなくなり、アパートからも追い出されてしまいました。その人が路上生活者支援のボランティアなどにも支えられながら、同じ路上生活を余儀なくされている仲間たちとともに普通の生活をとりもどそうと努力していきます。自治体から立ち退きを迫られますが、粘り強く交渉を続けます。そんな姿が描かれたドキュメンタリーです。
企業間競争の激化の中で、1990年くらいから、大企業は下請けに対して大きな負担を課し、労働者の使い捨てが広がり始めました。それがこんにちの路上生活者増大の背景にあります。そしていま、住民が路上生活者の排除を自治体に求め、自治体が強制的に路上生活者を排除するようになってきています。いま本当に求められるのは、そのようなことよりも、路上生活を余儀なくされるような人を生まない社会づくりではないでしょうか。国の雇用政策などを根本的に転換することこそ求められるのではないでしょうか。
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」(日本国憲法25条)このことがあまねく実現する社会にしていくためにどうすればよいのか、この映画を観ながら、そんな議論が広がって欲しいをおもいました。
【映画情報】
製作年:2011年
上映時間:1時間18分
監督:遠藤大輔
現在、東京・渋谷のアップリンクで上映中。
公式サイトはこちら。
* 働く者の雇用と生活の厳しさが深刻化しています。一人ひとりの生活の改善のために憲法はどのような役割を果たしているのか、どう活用するのか、など、近く開講する連続講座「生活と憲法」(5/19(土)から東京にて。全5回)で学び語り合いたいものです。
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