イギリス初の女性宰相となったマーガレット・サッチャーの仕事と人生を振り返る映画です。
首相に登りつめたサッチャーの逞しさ、その一方で妻として母としてのやさしさ、等々が描き出されています。
この作品を観て、筆者は、サッチャーが実際にイギリスと世界の政治と社会にどのような役割を果たしたのかを思い起こしてみました。やはりサッチャーの政治の最大のしごとはイギリスの財政「改革」だったのではないでしょうか。20世紀に入り、多くの先進国は福祉を重視することになり、それが国の財政を圧迫させる一因になった、とも指摘されます。その福祉に鉈を振るったのが、アメリカのレーガンやイギリスのサッチャーでした。その福祉を削る政策はやがて日本にも波及することになりました。
いま日本では「社会保障と税の一体改革」が進められようとしていますが、こうした歴史も正しく検証して議論すべきではないかと、映画を観て感じました。
製作年:2011年
上映時間: 105分
監督:フィリダ・ロイド
出演:メリル・ストリープ、ジム・ブロードベンド、アレキサンドラ・ローチ、ほか
* この作品は、2012年3月から日本でも公開され、全国各地で上映されてきています。
<法学館憲法研究所事務局から>
憲法の考え方に照らしながら、福祉や財政のあり方、人々の生活のあり方について発言してきた、法学館憲法研究所の浦部法穂顧問の連続講座「生活と憲法」(2012年5月〜、全5回。)が開講となります。多くの方々に受講していただきたく、ご案内します。 |