「夜逃げ屋本舗」・「夜逃げ屋本舗2」に次ぐ第3弾です。
経済的な困難に陥ってしまうと、もはや仕事を選べません。そんな人たちの弱みにつけこみ、その人たちを囲い込んでこき使うことを考える人が出てきます。囲い込まれた人たちはお互いが連帯保証し合う状況にさせられます。過酷な労働に耐えかねる誰かがそこから逃げ出した場合、他の人の負担が増すことになり、お互いがお互いを監視する仕組みが出来上がります。第3弾は、こうして囲い込まれ、こき使われている人たちを集団で丸ごと夜逃げさせる物語です。
近代市民革命によって成立した資本主義社会は封建時代とは違って、誰でも自由な経済活動ができる、ということになりました。しかし現実には、富める者がそうでない者を搾取できる自由を勝ち取ったとも言え、したがって社会的経済的弱者の社会権が現代の憲法には明記されるようになりました。格差社会が深刻化しているいま、社会権の考え方をふまえた「富の再分配」の必要性への合意を広げていかなければなりません。この映画を観ながら、そんなことをあらためて考えさせられました。
【映画情報】
製作年:1995年
上映時間:102分
監督:原隆仁
出演:中村雅俊、中村敦夫、益岡徹、西山由海、ほか
<法学館憲法研究所事務局から>
資本主義社会における富の再分配は徴税を通じても行われ、納税者はその支払能力に応じて納税すべきであるとする応能負担原則が適用されるべきと言われます。消費税増税が提起されようとしている中で、当研究所は応能負担原則がどうなっているのかを検証する公開研究会「消費税と憲法」(3/23)を開催します。ご案内します。 |