前作「夜逃げ屋本舗」の第二弾です。生活苦に喘ぐ人たちの夜逃げサポートを業とした会社が、今度はそのような人たちの"自己破産手続きサポート業"を始めました。
借金返済の見通しがたたない状況に陥ってしまった人は自己破産することができます。お金を貸していた金融会社は自己破産した人からは返済してもらえませんから、なんとか返済してもらおうと手を尽くすことになります。
この映画では、人のよい金融会社の社長自身が自己破産してしまいます。会社がお金を貸していた借り手がどんどん自己破産してしまったからです。
映画には悪徳金融会社も出てきます。悪徳金融会社は銀行から焦付き債権を安く買い取り、非道なやり方で債権回収をはかり儲けます。
「貸した金を返す。人間として当たり前のことだ」というのは正論ですが、様々な事情で首が回らなくなってしまった人には自己破産をする権利があるのです。窮地に陥ってしまった人をサポートする人がいれば、その窮地につけこんで利益を得ようとする人もいます。そんな人間社会の現実が描かれた作品です。
資本主義社会においては、富める者とそうでない者との格差が広がりやすく、現代の憲法では社会的・経済的弱者の保護を謳うようになっています。ところがこんにち、新自由主義という名のもとで、その考え方を否定する政策が横行するようになってきています。消費税増税が提起されようとしていますが、これも社会的・経済的弱者を直撃することになるでしょう。この映画を観て、改めてこうした社会状況とその解決の展望を語り合いたいものだと思いました。
【映画情報】
製作年:1993年
上映時間:100分
監督:原隆仁
出演:中村雅俊、益岡徹、高木美保、ほか
<法学館憲法研究所事務局から>
資本主義社会における富の再分配は徴税を通じても行われ、納税者はその支払能力に応じて納税すべきであるとする応能負担原則が適用されるべきと言われます。消費税増税が提起されようとしている中で、当研究所は応能負担原則がどうなっているのかを検証する公開研究会「消費税と憲法」(3/23)を開催します。ご案内します。 |