借金にまみれてしまった人に、うまく姿をくらませば取立てから逃れられるとして夜逃げをサポートすることと業とする「夜逃げ屋」。信販会社が、借金を踏み倒すなんてことは許さないと夜逃げする者を追う中で、あれやこれやの手口で夜逃げサポートの「仕事」を繰り返します。コミカルに描かれている映画ですが、テーマは深刻に考えさせられることです。
浪費して借金をして、それを踏み倒そうなんてことは許されません。しかし、人はいろいろな事情で経済的な困難に直面します。人が困っているところにつけ込み、高い金利でお金を貸し付けることによって儲けようという悪徳業者も少なくなく、そうした問題にもメスが入れられるべきです。
資本主義社会においては、富める者とそうでない者との格差が広がりやすく、現代の憲法では社会的・経済的弱者の保護を謳うようになっています。ところがこんにち、新自由主義という名のもとで、その考え方を否定する政策が横行するようになってきています。消費税増税が提起されようとしていますが、これも社会的・経済的弱者を直撃することになるでしょう。この映画を観て、改めてこうした社会状況とその解決の展望を語り合いたいものだと思いました。
【映画情報】
製作年:1992年
上映時間:106分
監督:原隆仁
出演:中村雅俊、大竹しのぶ、谷啓、ほか
<法学館憲法研究所事務局から>
資本主義社会における富の再分配は徴税を通じても行われ、納税者はその支払能力に応じて納税すべきであるとする応能負担原則が適用されるべきと言われます。消費税増税が提起されようとしている中で、当研究所は応能負担原則がどうなっているのかを検証する公開研究会「消費税と憲法」(3/23)を開催します。ご案内します。 |