長野県上田市の郊外にある美術館「無言館」を描いたドキュメンタリーです。
「無言館」は窪島誠一郎さんが信濃デッサン館の分館として1997年に開館した美術館です。第二次世界大戦により帰らぬ人となった画学生たちの残した絵画や作品、美術道具などを収蔵、展示しています。窪島誠一郎さんは、出征の経験を持つ画家の野見山暁治さんとともに全国を回って、戦没画学生の遺族を訪問して遺作を蒐集しました。
窪島さんは「『無言館』は作品が無言で語りかけてくるということではなく、作品の一つひとつにこめられた思いが、観た人を無言にさせるのです」と話します。
毎年開かれる「無言忌」には、戦没画学生の遺族の方々が集まります。ある遺族は父の描いた母の画を観て、「毎年母に会いに来ています。お墓参りにきているようなものです」と感慨深く話されます。
窪島さんは「戦争は自己実現を妨げるものです」と断じるとともに、「画は愛がないと描けません。そして画を見ることで生きることの素晴らしさ、かけがえのなさを感じることができます。この美術館は反戦・平和の美術館でありまた、愛の美術館でもあるのです」と話します。
戦争はかけがえのないものを壊すものです。作品にこめられた思いが映像から存分に伝わってきました。今度は実際に「無言館」を訪れて、作品と生で相対したいものです。
【映像情報】
製作年:2011年1月
上映時間:86分
監督:宮木辰夫
企画・製作:新映株式会社
公式ホームページはこちら。
* 現在、東京・新宿武蔵野館で6/10まで上映中。以降全国で上映予定。
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