林の中に女性の死体が発見され、男が逮捕されました。映画はこの男の裁判の法廷シーンを中心に、事件に至るさまざまな回想場面なども映しながら展開していきます。その男は死んだ女性の妹と交際していて、女性の死の真相は・・・。
裁判の証人たちの証言などをコミカルに描く場面もありますが、全体として事件と裁判が重厚に描かれた映画です。裁判官の訴訟指揮や裁判官同士での会話もリアルで、裁判官が刑事事件についてどのように判断しているのか、その様子を窺い知ることになります。
市民も裁判員として裁判に参加する時代になった今、刑事事件とその裁判について考えさせてくれる映画の一つです。「疑わしきは被告人の利益に」という憲法・刑事法の大原則の意義なども再確認したいものです。
米軍基地の存在と基地周辺に住む人々をめぐる問題状況なども映し出されており、戦後の日本社会の現実の一端に感慨を寄せる人もいらっしゃると思われます。
【映画情報】
製作年:1978年
上映時間:138分
監督:野村芳太郎
出演:松坂慶子、永島敏行、大竹しのぶ、ほか
* 布施辰治という弁護士は、戦前熟達の刑事弁護士として辣腕をふるい、社会的弱者のための弁護に生涯を費やしました。法学館憲法研究所は4月29日(金・祝)にドキュメンタリー映画「弁護士 布施辰治」の上映会を開催しますので、ご案内します。くわしくはこちら。
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