
浦部法穂 法学館憲法研究所顧問
神戸大学名誉教授 |

村井敏邦 法学館憲法研究所客員研究員
一橋大学名誉教授 |

白取祐司 神奈川大学教授 |

白藤博行 専修大学教授 |

木下智史 関西大学教授 |

伊藤 真 法学館憲法研究所所長 伊藤塾塾長 |

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2017年7月16日、法学館憲法研究所は、日本評論社と共催で、2017憲法講演会「憲法『改正』に向き合う」を開催いたしました。いま現職首相が憲法9条「改正」の内容と時期まで、堂々と明言するという日本国憲法にとってまさに危機的状況がつくられています。当研究所は、施行70年を迎えた日本国憲法の核心とこれからの「憲法と主権者のあり方」を世に示すために、『日本国憲法の核心』を出版しました。当日の講演会では、本書の執筆者のうち6人によるリレートークが行われました。
冒頭、開会挨拶を兼ねて法学館憲法研究所顧問の浦部法穂神戸大学名誉教授が「安倍首相の9条『改正』の意図と憲法『改正』とは何か」と題する講演を行ないました。その中で浦部教授は、国民の側に、憲法を変えるかどうかの主導権がある。国民が改憲を望んでいないのは世論調査でも明らかである。憲法の所有者は国民であり、権力者ではない。憲法の憲法たる所以は、国民がそれを憲法と認めているからだなどを話されました。
次に法学館憲法研究所客員研究員の村井敏邦一橋大学名誉教授が、共謀罪の成立を受けて、その背景にあるアメリカの意向、共謀罪がそもそも英米法の体系に由来するものであること、そして何よりも内心の自由を制限するものであることを語られました。また、特定秘密保護法の成立もアメリカの意向によるものであることを、スノーデン証言などを紹介して話されました。
続いて白取祐司神奈川大学教授は、軍事裁判所が戦争を推進するためにあることを指摘されました。軍事裁判所は軍規を守らせるためにあり、裁判官も検事も軍人であることを話されました。白藤博行専修大学教授は、沖縄県辺野古の埋立承認取消を求める一連の裁判を語られ、国防は国の専権事項と判示した裁判官は、憲法・地方自治を理解していないと批判されました。そして沖縄の自治・人権は、私たち自身の自治であり人権の問題であることを語られました。
木下智史関西大学教授は、国民主権について語られ、小選挙区制で25%の得票しかなくても多数派になる選挙制度の歪みを語られました。小選挙区制で代表的なイギリスとアメリカの例を引かれ、小選挙区制が単に選挙のみではなく、地域でのタウンミーティングや地区の体育館での有権者に対する発表と承認に支えられている制度であることを紹介されました。そして日本でも国民が日常的主権者であることを考えなければならないと話されました。それは主権者の自覚の問題ではなく、制度・システム作りをしていかなければならないことを語られました。
最後に、伊藤真法学館憲法研究所所長が、安保法制違憲訴訟の話をされ、立憲主義と平和主義を守る戦いであると強調されました。また一人一票最高裁判決について語られ、違憲状態の下では、今いるのは偽議員であり、偽首相であることを指摘されました。また自立した市民であること、歴史を知ることの重要性などを話されました。
参加者からは次のような感想が寄せられました。
「いろいろな方面から改憲問題を説明してくださり、大変勉強になりました。どの先生方もわかりやすく熱のこもったお話でした。」
「なんだか解らないまま法が決まって進んでいく世の中を少しでも理解したいと思い参加させていただきました。話題の共謀罪・集団的自衛権他の話をわかりやすく丁寧な説明で聞けて良かったです。自分にできることは極めて小さいことですが、ニュースに耳を傾けより注目しながら自分の身に少しでもなるように学んで、生活できたらと思います。よい機会とお時間をありがとうございました。」
「広い視野にたって憲法『改正』問題を考える視点を持つ必要性を強く感じました。ありがとうございました。」
「憲法について考えていく勉強になりました。沖縄県の問題は、私たちの問題と考えている人が少ないように感じます。伝えていくことが大切だと思います。」
「知的好奇心を刺激されたすばらしい講演会でした。一主権者として何をすべきか、考えて行きたいと思います。」
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(法学館憲法研究所事務局)
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