■「最高裁判所の裁判官の国民審査」。ご存じですか? 最高裁の裁判官は内閣が任命します。でも、時の政府が任命するだけでは、最高裁判所が国民の信頼から切り離されてしまいます。そこで、内閣が選んだ最高裁の裁判官が、「憲法の番人」として本当にふわさしいかどうか、国民がチェックできる制度を憲法が定めています。それが衆議院選挙の投票と同時に行われる「最高裁裁判官の国民審査」です。
「最高裁の裁判官」にふさわしくないと思う人に「×」をつけることで、罷免を求めることができる制度です。 この「国民審査」ですが、「よく分からないから」と白紙のまま出すと、裁判官は「信任」されたこととみなされてしまいます。これまで、例え問題がある裁判官がいても、「罷免」されたケースは一度もありません。戦後全ての最高裁裁判官が、「信任」されてきましたが、「分からない」→「白紙」→「信任」がほとんどではないか、と言われています。
裁判所を良くしていくのも、悪くしてしまうのも、本当は審査をする立場にある有権者である私たちひとりひとりにかかっています。せっかくの裁判所を良くする機会。もっと、ちゃんとチェックをしていかないと、本当にもったいないですよね。 ■今回は、9人の裁判官が審査されます。 今回は、15名の最高裁裁判官のうち、前回の「郵政選挙」の後に裁判官に任命された9人の裁判官が「国民審査」されます。
その中には、裁判員制度を牽引し、東京高裁長官から一気に最高裁長官に抜擢された竹崎さん、違憲とされたイラク派兵を積極的に進めた、竹内行夫元外務事務次官(外務官僚のトップからの抜擢)などがいます。
裁判員制度をどう思うか、また、平和憲法を蔑ろにする人が最高裁裁判官としてふさわしいのか、いろいろな観点から、「国民審査」をしていくことができるはずです。
■竹内行夫さんは最高裁裁判官にふさわしくないと考えます。 竹内行夫さんが最高裁裁判官に任命されたのは、去年の10月。去年の4月にイラク派兵違憲判決が出た後に、麻生内閣によって最高裁の裁判官に任命されました。
この竹内行夫さん。小泉首相時代に外務事務次官(外務行政のトップ)として、自ら積極的にブッシュのイラク戦争支持や自衛隊のイラク派兵を決定し、実行していった外務行政の責任者です。イラク戦争に反対したレバノン大使(天木直人さん)を「クビ」にしたのも竹内さんです。
また、高遠さん達3人がイラクで身柄拘束されたときにも、「自己責任だ」と切って捨て、3人へのバッシングを引き起こしました。 今振り返ってみてどうでしょうか?
今やイラク戦争についてブッシュ元大統領でさえ「間違っていた」と反省をしています。 そして、イラク派兵については、名古屋高裁が違憲と判断しています。
竹内さんは、まさに間違っていたイラク戦争を支持し、違憲と批判されたイラク派兵を進めた張本人です。 外務行政のトップとして、積極的に平和憲法を蔑ろにしてきた方です(なお、「裁判官」といっても、この方は司法試験には合格されていません)。
このような方に、最高裁の裁判官を任せて良いのでしょうか。 ■「平和憲法を守り活かす」意思を伝える。 「平和憲法を守り活かす」。今回の国民投票では、「竹内行夫」さんに「×」をつけることは、「平和憲法を守れ」という「平和への意思」の表れとなると思っています。
「公職選挙法」の対象になりませんので、ビラ配りも自由ですし、投票日に投票所近くで街頭宣伝することも道交法違反にあたらない限りは自由です。ネット上での運動も自由です。
人の名前に「×」をつける、ということは「ネガティブキャンペーン」で「品がない」とも思われるかもしれません。 しかし、今回、竹内氏に「×」をつけることは、決して竹内氏個人を誹謗中傷したり、攻撃をする「ネガティブキャンペーン」ではありません。あくまで、竹内氏が進めた違憲の海外派兵政策への批判する、平和憲法を護り生かす方向を選択するという意思表示の仕方に他なりません。
これは、これまでにない「平和」の意思表示の貴重な機会となると考えます。 分かりやすいリーフも作りました。100枚単位での注文が積み重なり、7月はじめから7月末の半月の間に、全国から合計20万枚の注文を頂きお送りさせて頂きました。
注文はこちらのHPからよろしくお願い致します。
全国のみなさんと一緒に、いろんな形のとりくみをつくっていければと思っています。
◆川口創(かわぐちはじめ)さんのプロフィール 1972年埼玉県生まれ。
名古屋第一法律事務所所属。 イラク派兵差止訴訟弁護団事務局長。 著書「『自衛隊のイラク派兵差止訴訟判決文』」を読む」(共著)(09年角川書店) |
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