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ブックレット『裁量労働制はなぜ危険か 「働き方改革」の闇』

S.K

 安倍政権が今国会の最重要法案と位置づける「働き方改革関連法案」は、5月31日衆院を通過し、参議院の審議も大詰めを迎えています。長時間労働の是正を狙いとするはずの「働き方改革関連法案」は、「時間外労働の上限規制」と抱き合わせで、まさに「残業代ゼロ法案」というべき長時間労働を加速させる規制緩和が一括法案として審議されています。
 本書は、「高プロ」や「ホワイトカラーエグゼンプション」ほど危険性が周知されていないけれども、これらと同様の労働時間規制の適用除外制度で、しかも年収の要件すらない「裁量労働制」に焦点を当て、その危険性をわかりやすく解説してくれています。
 当初予定されていた企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大については、労働時間調査に関する不適切データをきっかけに全面的に削除されましたが、本書では、「働き方改革」の狙いや、背景にある誤った「労働者像」を明らかにするとともに、労働法が生まれた歴史的経緯や世界観から労働時間規制の重要性まで語られており、現在審議されている法案の危険性の理解に大いに役立つものとなっています。
 また、本書では、高度な専門能力や自律性をもった限られた職種のみに認められている裁量労働制が、本来適用されるべきでない「普通の労働者」に適用されるという、いわば「偽装裁量労働制」が社会に蔓延し、過労死や健康被害を引き起こしている実態が、たくさんの裁判例をもとに明らかにされています。「裁量労働制」の制度趣旨自体が過労死の実態把握を困難にし、「自己責任」の形式に落とし込んでしまう危険もよくわかります。
 さらに、労働組合と使用者の交渉によって労働者のニーズでもある「多様な働き方」を認めつつ、公正な目標設定や評価基準を設定するなど、長時間労働に歯止めをかける実質的な労使関係構築の必要性が指摘され、裁量労働制導入にあたり、実際に労働組合がどのような役割を果たしているのかの調査・分析もなされています。
 本書には、裁量労働制で働く労働者に向けた「対応マニュアル」がまとめられており、巻末には法的権利行使のための「チェックシート」も付けられています。

【書籍情報】2018年3月に岩波書店から発行(岩波ブックレット)。編者は今野晴貴(NPO法人POSSE代表)、嶋?量(ブラック企業対策弁護団副事務局長・弁護士)。定価は660円+税。

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