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書籍『教育を、取り戻す「壊憲」教育に抗う人々』

S.K

 1947年制定の旧教育基本法は、戦争の痛切な反省のうえに立ち、日本国憲法の精神を具体化するために制定されました。しかし第1次安倍内閣で新教育基本法が制定されて教育の目標に「愛国心」を盛り込まれ、第2次安倍内閣では道徳が正式教科となり、戦前の「教育勅語」を学校教育教材として使用することも容認されました。現行憲法とは相いれない教育、「壊憲」の教育が復活しようとするなか、本書は、現場で現実に起きている「壊憲」教育の動向と、「壊憲」教育に抗う人々の闘いを明らかにしてくれています。
 教育は私たちの社会のありかた、これからの国のかたちを左右する極めて重要な部分です。本書で明らかにされている問題は、メディアがもっと取り上げ、社会問題として議論されてしかるべき重大な問題ばかりですが、ほとんど報道されず、多くの市民には知らされていません。自粛や管理職からの圧力などは、極めて重大でも公になりにくいということもあります。
 政府は教育基本法や教育指導要領などで特定のイデオロギーを押しつけておきながら、「政治的中立性」を理由に政権に不都合な教育に圧力をかけています。「道徳」を「人権」、「国語」を「日本語」と時間割に表記することに是正指導が入ったり、『朝日』『毎日』『東京』の新聞教材は管理職が許可しない学校もあるというから驚きです。
 保護者はもちろん、教育現場と離れた市民が声をあげ、「壊憲」教育に抗う人々を支援していかなければ「壊憲」教育は止められないでしょう。是非とも多くの方々に読んでいただき「教育を、取り戻す」ために活用していきたい1冊です。
 ご参考までに本書の第1章で取り上げられている一例をご紹介させていただきます。
 北海道高等学校教職員組合連合会(道高教組)が「アベ政治を許さない」と印刷したクリアファイルを作成し、組合員約1500人に配布したところ、道県議会でやり玉にあがり、人事院規則第6項に違反するおそれがあるとして、「密告」に等しい調査が行われたそうです。調査は憲法28条(団結権)を侵害する不当労働行為に抵触するといえるものです。これに対し道高教組は、「社会に対する健全な批判力を養うことがシティズンシップ教育の根幹だ。正当な政治教育の自由こそ同教委は保障すべきである」と道教委を批判していますが、この出来事以来、教職員は委縮して、職員室では迂闊にものが言えなくなったといいます。
 その他、第1章では、当研究所HPでもご紹介した「憲法出前授業」に対する圧力、打切り。平井美津子先生の「知る沖縄戦」(朝日新聞社発行)を使用した授業に対する圧力や「在日特権を許さない市民の会」(在特会)による個人攻撃。放送大学試験問題削除。原発や集団的自衛権に関する授業などが紹介されています。
 第2章、3章では、安倍「エリート育成」改革の実態が明らかにされています。品川区の小中一貫の教育や「学力テスト」の影響、小学校における英語教育の問題などが詳しく紹介されています。4章では道徳の教科化のねらいが明らかにされています。ここでは佐貫浩法政大学名誉教授の対談なども収載されています。第5章では、「『君が代』強制に屈しない 良心をかけた、歴史に刻む闘い」が特集され、第6章では勤務実態調査により教職員組合つぶしが行われている実態が明らかにされています。第7章、第8章の「貧困と格差の安上がり教育」では、奨学金の問題や非正規教師の労働実態が取り上げられています。

【書籍情報】
2018年2月に金曜日より刊行。著者は平舘英明(ジャーナリスト)。定価は1300円+税。




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