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特集『憲法70年と国民主権・象徴天皇制』

S.K

 いま、日本国内では「明文改憲」が喫緊の政治課題となり、世界でも排外主義の高まる中、日本の平和主義や人権保障の真価がますます問われています。そんな状況の中、「憲法70年の憲法理論と運用を総括し、変容する世界の憲法動向をふまえて、基礎理論に切り込む、憲法学研究の総合誌」が創刊されました。
 創刊号では、国民主権下の象徴天皇制が特集されています。
象徴天皇制に関しては現実の憲法政治の場面で、2016年の天皇ビデオメッセージを契機として2017年6月9日に「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が制定され、安倍首相が、皇室会議の意見を踏まえ、退位日を2019年4月30日とする決定をしたと表明しているところです。
 本誌は特定の立場をとることなく、あくまで憲法理論を深め、憲法学説の整理することにより、アクチュアルな憲法問題について問題提起をしています。
 国民主権と象徴天皇制については「(1)国民主権にかかわる2つの国体論争と「八月革命説」、(2)旧憲法下の天皇制との関係(「断絶説」と「連続説」)、(3)象徴天皇の地位(元首・君主否定論、元首肯定論)、(4)天皇の権能に関する「二分説」と「三分説」(国事行為・私的行為以外に象徴的行為(公的行為)を容認する説)、(5)皇室典範(女性天皇・皇族規定等)の合憲性(および女性差別撤廃条約適合性)問題」など多様な問題があります。これらはそれぞれ「1.国体論争における宮沢説(八月革命説)の通説化、2.戦前の天皇制との部分的連続性の承認、3.象徴天皇制における天皇元首・君主論の否定、4.天皇の権限に関する「三分説」(象徴的行為承認論)の支持拡大、5.皇室典範の合憲性に関して(憲法2条の世襲原則規定により憲法14条の適用を排除する立場からの)皇室典範の合憲性の認定、という理解がほぼ確立されて多数説が形成されているようにみえる」のですが、天皇退位の問題を念頭に改めて理論を検証してみると実に様々な問題が浮かび上がります。現実的な憲法問題を考える際も基礎理論から丁寧な考察をすることの重要性を再認識させられます。
 本誌掲載の座談会において、山元一氏が70年の「日本憲法史」をふりかえって、復古的な憲法改正案に直面させられたことと並んで、象徴天皇の生前退位問題が印象的であると述べ、再軍備・自衛隊問題とは全く異なり、自民党から共産党までが、ひとつの「生ける憲法」に賛意を表したという状況は、象徴天皇制を創設した日本国憲法の「生ける憲法」としての歩み、運用の積み重を示すものだと指摘していますが、本誌の特集を読むと、創刊号にふさわしい日本憲法史上大きな問題であったことに気づかされます。
 以下は掲載の一覧です。
◆企画趣旨:国民主権下の象徴天皇制・・・・辻村みよ子(明治大学法科大学院教授、東北大学名誉教授)
◆天皇の「公務」と退位をめぐる諸問題・・・・大石眞(京都大学名誉教授)
◆天皇退位特例法の憲法問題・・・・高見勝利(上智大学名誉教授)
◆象徴天皇制をめぐる課題・・・・芹沢斉(青山学院大学名誉教授)
◆憲法と「皇室経済」・・・・片桐直人(大阪大学大学院高等司法研究科准教授)
◆皇室典範1条と女性差別撤廃条約・・・・若尾典子(佛教大学教授)
◆「君が代訴訟」の現段階・・・・渡辺康行(一橋大学大学院法学研究科教授)
◆文化問題としての天皇制・・・・栗田佳泰(新潟大学法学部准教授)
◆インタビュー 憲法史から見た象徴天皇・・・・水林彪(早稲田大学法学学術院特任教授/(聞き手)山元一(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
◆座談会 憲法変動と憲法研究—『憲法研究』創刊に寄せて
 ・・・・辻村みよ子(前掲)、山元一(前掲)、只野雅人(一橋大学大学院法学研究科教授)、愛敬浩二(名古屋大学大学院法学研究科教授)、毛利透(京都大学大学院法学研究科教授)
◆書評 『「憲法改正」の比較政治学』(駒村ほか編)・・・・井口秀作(愛媛大学法文学部教授)

【書籍情報】

信山社が発行する雑誌『憲法研究』創刊第1号(2017年11月号)。定価は2900円+税





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