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書籍『未完の憲法』

 

 以下は、法学館憲法研究所の伊藤真所長(=伊藤塾塾長)による書籍『未完の憲法』(2014年4月、潮出版社から刊行、奥平康弘・木村草太著、税込価格:1,512 円(本体 1,400 円))の書評で、公明新聞に掲載されたものです。

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 『未完の憲法』 奥平康弘 × 木村草太

                 伊藤 真 評

 「憲法というものは世代を超えた国民が、絶えず未完成部分を残しつつその実現を図っていくコンセプトである。」
 それが本書、「未完の憲法」のタイトルの由来である。
 「民主主義」なのだから、過半数が賛成すればどう決めてもいい、という風潮が政治の世界では強い。96条先行改憲論や、集団的自衛権の行使容認を認める安全保障論などがそうである。
 しかし、民主主義の「民」が誰かを考えたとき、そこには現在だけでなく将来の民が含まれる。そして、将来の民が現在の民から拘束されるいわれはない。その意味で、現在の憲法は、将来の民のために未完の部分を残しながら実現されるべきなのである。そして、今を生きる者は次の世代への責任も果たさなければならない。
 さて、本書にはいろいろな特徴がある。
 まず、本書は初めて憲法の本を読む人向けの「入門書」である。たとえば「立憲主義」について、端的に国家を縛るものだと説明しながら、そこから掘り下げた説明が始まる。市民の手によって憲法が作られたからこそ、国家を縛る力がある。掘り下げた説明が言葉の深い理解につながっており、入門段階で基礎的な言葉を深く身につけるのに適した書物である。
 つぎに、本書は時事を扱った憲法の本でもある。憲法改正論や集団的自衛権という大きい問題から、東京の小平市で起きた住民投票の開票を巡る争いや公衆浴場の刺青問題、PTAへの強制加入問題、ヘイトスピーチ問題まで、さまざまな時事問題を取り上げながら、深みのある視点から解決の方向が示されている。憲法の現状を知り、憲法を使いこなすのに格好の書物である。
 さらに、本書が示す様々な問題提起から憲法の最前線の議論の片鱗を知ることができる書物でもある。
 憲法について自分の頭で考えてみようという人は、是非この本を読んでみてほしい。そういう主体的な市民が1人でも増えることによって、憲法は市民の間に深く浸透していくように思う。(潮出版社 1512円)
     ◇
  おくだいら・やすひろ 1929年生。東京大学名誉教授。
  きむら・そうた 1980年生。首都大学東京准教授。


 

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