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論文「政権交代と改憲論」

H・O


 この論文は、法学館憲法研究所の浦部法穂顧問が、神戸大学教授であった1994年に「全国憲法研究会」で報告したもので、全国憲法研究会『憲法問題6』(1995年、三省堂)に収録されたものです。1993年、長年政権の座にあった自民党が選挙で過半数を獲得できず、細川護煕氏を首班とする連立政権が誕生しました。そのことを憲法学の立場からどう観るかが語られたものです。
 当時自民党政権から連立政権への「政権交代」には、それまでの自民党長期政権よりはまし、という評価が少なからずありました。ところが、浦部教授(当時)は「むしろないほうがまし」な政権交代だったとする立場を明らかにしました。
 浦部教授(当時)は、1993年「政権交代」が、実際には自民党の政策を継承するものでしかなかったこと、しかもそれは、単に継承したにとどまらず、自民党政権が容易にはなしえなかったような政策を実行しようとしたこと、そこには財界の意向や当時の改憲論が強く反映していることなどの問題状況を解明しました。
 特に興味深いのは、民主主義論の考え方についての論述です。浦部教授(当時)は少数派の保護ないし少数派の民意の反映の重要性を説き、民意の反映のあり方について問題提起します。多様な民意の国政への反映の仕方として、多様な民意は政党レベルでの多数派形成の過程で統合し、選挙において多数の支持をえた政党ないし政党連合がその政策を実行していくという考え方がありますが、浦部教授(当時)はこの点に疑問を呈します。そして、多様な民意はいったん議会に反映させ、議会の場での妥協・合意によって政策決定がなされるようにすべき、そうすれば、議会における議論を通じて、その問題の所在が明らかにされることになり、それが重要だと述べます。そのことで少数派の民意も具体的な政策決定に何らかの影響を及ぼしうる可能性がある、と説きます。小選挙区制によって少数派が議会の場から締め出される事態に警鐘を鳴らし、二大政党による「政権交代」の問題性をこうした観点からも指摘するものとなっています。
 2009年には民主党中心の「政権交代」が実現しましたが、浦部教授(当時)の指摘をあらためて考えていく必要性を感じます。

【論文情報】全国憲法研究会『憲法問題6』(1995年、三省堂)に所収。

* 12月11日、連続講座「生活と憲法」第2回「政治と憲法」で浦部顧問が講義をします。浦部顧問は2009年の「政権交代」についての見解を「憲法時評−政権交代」で示していますが、この政権のその後をどのように評価し、どう今後を展望すべきかも語られるでしょう。

 

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