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特集「最高裁判所は変わったか ― 違憲審査と政策形成を考える」

H・T


 近年、最高裁は変わりつつあるのではないか、そうだとしたらその原因は何か、今後どこまで変わる展望があるのかという問題意識から、日本法社会学会関東研究支部は、08年11月にタイトルのようなシンポジウムを開催しました。本特集はその報告です。

 まず、佐藤岩夫教授は、「最高裁判所は変わったか──企画趣旨と今後の議論への示唆」において、02年以降最高裁において3件の注目すべき違憲判決が現われていること、及び行政訴訟における原告適格や処分性を拡大する判決の動きなどを紹介しています。この変化が今後どのように展開していくかについては、時間をかけて観察する必要があると指摘しています。

 次いで、著書「最高裁は変わったか」を発表して注目されている弁護士出身の滝井繁男元最高裁判事は、最高裁の変化の背景には、司法制度改革審議会の意見書で司法による立法、行政に対するチェック機能が不十分だと言われたことを挙げています。そして、最高裁が今後きちんと違憲審査機能を果すためには、最高裁判事の構成が検察官、裁判官経験者で過半数を占めている現状を改める必要があることを強調しています。

 宍戸常寿教授は、「最高裁と『違憲審査の活性化』」において、「違憲審査の活性化」の隠れた要因でもあり、今後ますます最高裁が対処を迫られる最大の問題は、国政の構造変化にどのように向き合うかという点であると述べています。「国政の構造変化」とは政権交代を意味しそれにより違憲審査が活性化すると単純に受け止められることも多い中で、教授による「2大政党化の進展が進むにつれて国民の中の多様な利益・価値観が政治過程に十分インプットされなくなる」等の指摘は重要であり、最高裁には政治状況と自らの役割についての一層高度な認識が期待されるということでしょう。

 最後は、この種の企画には異色な司法政治学の立場からの見平典教授による「最高裁判所をめぐるポリティクス──二〇世紀後半におけるアメリカ連邦最高裁判所の積極化の背景と日本への示唆」です。20世紀後半においてアメリカの政治指導者は、少数者の人権や民主過程の監視のために連邦最高裁が積極的な違憲審査権を行使することを可能にさせる各種の資源を供給したことを紹介しつつ、日本も学ぶべきことが多いことを指摘しています。@最高裁が利用できる諸資源(法や法理論などの規範的資源、裁判員などの政治的資源、豊かな情報などの実務的資源)を増強すること、及びA裁判官の価値観に関する重要な問題として、選任手続の透明化など、広範な課題を提起しています。

 違憲審査を活性化させるためには何が問題かを考える材料が濃密かつコンパクトに整理されていて、是非ご覧いただきたい特集です。

【論文情報】「法律時報」2010年4月号所収 日本評論社発行 1600円(税込み)


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