| 「18歳から」という年齢にターゲットをしぼった憲法の本格的な入門書が初めて登場しました。18歳を投票権者とする憲法改正手続法(国民投票法)も施行され、当の18歳、19歳の憲法意識を高めることが重要な課題になっていることに応えた企画です(「はしがき」より)。著者は当研究所の客員研究員である水島朝穂教授です。 18歳からであっても、憲法を高校の教科書だけで概観するのではなく、その理念をきちんと踏まえて体系的・総合的に学ぶことが不可欠である理由は、たまたま憲法改正手続法が施行されたことに止まりません。それは、本書を読み進めると明白になります。今や20歳前から個人の「自助努力」「自己責任」が強調され、多くの若者が「構造改革」された社会の荒野に投げ出されています。憲法は10代にとっても自分を守り権利を主張するために必要です。世界に目を広げると、189カ国・地域のうち170国が18歳に選挙権を認めています。 著者は、本書の視線として3点挙げています。@まず、「現場へのこだわり」です。憲法の問題が生起する現場の「旬」のネタが最新判例を含めて豊富に採り上げられています。WEBサイトで毎週「直言」を発信しておられる著者の面目躍如です。A「何のための憲法論か」―平和主義・国民主権・人権保障という憲法の目的を実践的に活かす姿勢が鮮明です。B法は私たちが闘い取るものであるという「原点」からの発想が随所に示されています。これらの視線は、当サイトの「今週の一言」における「法の視点から『いま』を診る」をはじめとする数々の発言や、憲法関連書籍情報で紹介した書籍「オキナワと憲法〜問い続けるもの」、「改憲論を診る」、「憲法『私』論――みんなで考える前にひとりひとりが考えよう」、「長沼事件 平賀書簡−35年目の証言」等とも一貫しています。 本書は、法学部生や市民の皆さんの憲法の学習、さらには法律家の方々の今の憲法学の全体像の確認という要請にも十分答えています。それは、@例えば「被害者の人権」のように人権概念が混乱していること、「安全・安心」を守るために「国家による自由」が安易に持ち出されていること、「納税者の権利」は「払税者の権利」と称すべきではないかなど、私たちが陥りやすい盲点を随所で指摘しているからです。また、A国際人権や最新判例など、新しい情報が豊富であり、B自治体外交や住民投票など、これからの時代を先取りする問題意識に溢れているからです。 【書籍情報】水島朝穂著
法律文化社 2010年7月刊 本体価格2,200円+税 *事務局からのお知らせ 当研究所は、中学・高校生の皆さん向けの映像教材「憲法を観る」の普及をすすめています。こちら。あわせて紹介させていただきます。 |