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論文「憲法訴訟と安保条約」/論文「『立憲民主平和主義』の可能性――相対化の時代における平和的生存権」

K・T


 民主主義科学者協会法律部会編「安保改定50年 軍事同盟のない世界へ」(法律時報増刊2010年6月)から所収論文2本をご紹介します。

 最初にご紹介するのは、石埼学教授(龍谷大学、当サイト今週の一言にご登場いただいています)の論文「憲法訴訟と安保条約」です。本論文では、まず旧安保条約下における砂川事件最高裁判決が、「駐留米軍の存在をその『目的論的』な憲法解釈によって正当化する機能を果たしている」(p.119)ことを踏まえ、新安保条約締結後の判断においても、砂川最大判における「『一見極めて明白』に違憲無効でない限り『高度の政治性を有する』条約については『司法審査の対象外』」という枠組みが、新旧安保条約の違いを考慮することなく踏襲されていることを指摘しています。また、仮に安保条約についての憲法適合性の判断が上記枠組みに拠らざるを得ないとしても、裁判所の判断が「(条約)実施のための国内法令ひいてはその個別の適用についてまで、現状追認の姿勢を貫いて、国の安保条約履行への協力義務を事実上市民に課する点」(p.120)に特徴があることを批判的に検証。「安保裁判」をめぐって、最高裁が「公共性」を楯に市民の権利主張を強度に制約する「役割」を果たしてきたことの問題性を明らかにし、司法審査・憲法訴訟と市民の権利実現との関係を考察する論文です。

 次に、麻生多聞准教授(鳴門教育大学、当サイト今週の一言にご登場いただいています)の論文「『立憲民主平和主義』の可能性――相対化の時代における平和的生存権」をご紹介します。本論文は、安全保障政策の分野で「立法、行政の立場から乖離した原理を司法部門が単独で維持することは困難」(p.221)との問題意識から、デモクラシーの出発点とプロセスに着目して「裁判上の平和的生存権」に加え「憲法上の平和的生存権」を積極的に位置づけるものです。公共圏における9条護憲論者による政治的多数派形成に必要な視点として、「憲法上の平和的生存権の規範的価値」が「国家統御関係に位置づけられうるシステムの構築」を要請するものと説く刺激的な論文です。私見ですが、立憲主義と民主主義、憲法9条の歴史性と普遍性、これらの相克を止揚するためのひとつの試みと本稿筆者はうけとめました。

※尚、石埼学教授、麻生多聞准教授の論文・書籍は当サイトの憲法文献データベースで検索できますので、ご案内します。

 

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