法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『二大政党制批判論―もうひとつのデモクラシーへ』

H・T


 最近、いくつかの新しい政党が誕生しました。しかし、90年代の「政治改革」以降の大きな流れとして、2大政党への2極化が進行しています。さらに、民主、自民両党とも、衆参両院の比例定数削減、国会議員定数の大幅削減を主張し、2大政党制の確立=少数政党の国会からの排除を志向しています。この本は、2大政党制批判の書です。

 筆者はまず、各国の歴史を振り返りつつ、民主化の始まりとともに各集団の部分利益を実現するために政党政治が生まれ、政党の役割は国家と社会のリンゲージ(連結)にあると、政党の目的と役割を踏まえることから出発しています。

 次いで、政党のあり方をめぐって90年代に日本で行われた政治改革論議を分析しています。「政治改革」は、当時大きな批判を受けていた腐敗や汚職、緊張感のない政治の原因は中選挙区制(比例代表制の亜種)にあるとされ、腐敗等を根絶し緊張感のある政策本位の政治を樹立することが目的とされました。その結果衆院は小選挙区制に傾斜した「小選挙区比例代表併用制」に改められました。しかし、「政治改革」が実際に目指したのは2大政党制の確立でした。政治改革後も政治腐敗は絶えることなく、2大政党の出現によって、憲政上の問題である大文字の政治(周辺事態法、国旗・国歌法、自衛隊の海外派遣)についての緊張感のある政策の対立が消滅し、政党の本来の目的と役割が大きく歪曲されたと指摘しています。2大政党制の弊害はすでに60年代から指摘され、むしろ他の先進国と比較した場合、かなり異質な制度だったことが明らかにされています。

 筆者は、日本の政治に欠けているのは、「政治改革」で議論されたような「強いリーダーシップ」や「政策本位の政治」ではなく「政治は自分たちのためにあるもの」という感覚なのではないか、そうでなければ、これほどまでに政治不信が高まることはなかっただろうと述べています。近年、機能不全に陥っている議会制民主主義を再生させるための議論として、熟議デモクラシーないし討議デモクラシー論が盛んです。これに対して、それらは合意を強調し異質性を消し去ろうとする問題を含み、個々の市民や集団がもつ「種差」や異質性を大切にして、政治が元々担っていた闘争の契機を重視すべきであるという筆者の問題提起(「闘技デモクラシー」)は新鮮です。

【書籍情報】吉田徹著 光文社新書 2009年10月刊 本体価格740円+税
 
<法学館憲法研究所事務局からのお知らせ>
今、政権交代もあり、政党政治のあり方が大きな問題になっています。法学館憲法研究所では、下記により「政党政治とその課題」と題して公開研究会を開催しますのでご案内します。
          記
日 時:2010年7月2日(金)18時30分−21時
会 場:伊藤塾東京校
内 容:講演「政党政治とその課題」上脇博之氏(神戸学院大学教授)
    コメント 浦部法穂氏(法学館憲法研究所顧問・神戸大学名誉教授)
詳しくはこちら

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]