法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

特集「議会制民主主義とあるべき選挙制度」

H・T


 現在進行している、議会制民主主義と選挙制度に関する「第2次政治改革」の全体像を多面的に分析し、あるべき政治システムとは何かを論ずる注目すべき特集です。「改革」は、選挙制度面における衆院比例区定数80の削減と、「政治主導」の名の下における国会の審議機能の形骸化・強力な政府(行政権)の確立の双面からなります。

 吉田教授は、1994年の「第1次政治改革」では政策で争う選挙が目指されたが、小選挙区、2大政党制、マニフェスト選挙によって「多数派デモクラシー」となり、政党の多元性と党内民主主義が削減され、日米同盟や消費税等有権者にとっての真の対立軸が隠され、国民は「半主権」状態に追い込まれたとして、政党政治の空洞化を指摘しています。

 加藤教授は、現行の選挙制度の結果、有権者の投票集積数と議席配分との比例を意味する「投票の結果の平等」が実現されていないという問題は、憲法47条の立法裁量論で切り落とすことの許されない問題であると論じています。小選挙区制拡大論者は、イギリス型の小選挙区制・2大政党制を唯一のモデルと見がちであるが、これは歴史的に形成された特殊な形態に過ぎないとします。

 坂本弁護士は、参院選後に比例定数80を削減する民主党案によると、衆院の公明党は10議席、共産党は2〜4議席、社民党はゼロ議席になる可能性が大きいと試算し、その結果、改憲手続が急ピッチで進められる可能性があると警鐘を鳴らしています。

 田中隆弁護士は、1980年代から始まった「第1次政治改革」は多国籍企業化した財界によって主導され、新自由主義路線による構造改革と自衛隊の海外派兵・憲法9条の改正を実現するのにふさわしい政治体制作りとして進められたとします。そして民主党政権の「第2次政治改革」は、「より洗練された構造改革・海外派兵推進」政策となる危険性を論じています。

 以上のような重大な諸問題は主権者である国民の間ではほとんど意識されていません。それは、「権力から独立」し「正確で公正な記事」を書くべきマスメディアがその責任を放棄していることによることが大きいと長谷川千秋氏(元朝日新聞大阪本社編集長)は指摘しています。「21世紀臨調」にメディア幹部が70人も参加し政治との距離感をなくしている事実等が具体的に解説されています。

 以下は掲載論文の一覧です。
◆政治改革後の政治世界―「作られる一党優位性」の危機‥‥加藤一彦
◆選挙制度と政党改革―政治における「アーキテクチャ」の構想‥‥吉田徹
◆民主党「国会活性化」の論理―その問題点‥‥植松健一
◆内閣法制局の憲法9条解釈のなし崩し的解体が狙い―内閣法制局長官の国会答弁を禁止する国会法改正問題‥‥中村明
◆「21世紀臨調」の援軍と化したメディアの行く末‥‥長谷川千秋
◆民主党・政治改革論の源流―財界と小沢一郎氏のビジョンから‥‥田中隆
◆衆院比例定数削減の検証―逆行を阻止し一票の生きる日本を求めて‥‥坂本修
◆自由な選挙をめざして‥‥望月憲郎
◆婦人参政権と理想選挙に市民運動の焔をもやした65年―婦人運動の道を歩む‥‥紀平悌子

【書籍情報】「法と民主主義」2010年2/3月号所収 日本民主主義法律家協会発行 1000円+税

 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]