法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『日米同盟の正体―迷走する安全保障』

H・T


 今年は、日米安保条約が署名されてから50周年になります。1960年は、安保体制が憲法体制に優位するという法体系を認めるか否かをめぐって、全国各地で空前絶後の市民運動が起きました(「ときの話題と憲法1960年」参照)。

 現在は当時と異なり、マスメディアも政治も安保体制を当然の与件として論じています。しかし、憲法の平和の理念に照らし、改めて安保条約の意味を考えるいろいろな企画が予定されています。

 この本は、昨年出版され大きな衝撃を与えました。日米安保体制が、2005年の「日米同盟:未来のための転換と再編」という国会の承認を経ない新文書によって、変わってしまっていることを知らせたからです。各国情報機関とも積極的に交流する外務省の国際情報局長や防衛大学校の人文社会学群長等を歴任し安保問題の第一線で働いていた孫崎享氏が退官と同時に出版しました。今年は単なる「50周年」ではないことを意味しています。

 氏は、安保条約は形のうえでは残っているが、「新文書」によって同一性を失い変質(転換=transformation)した点として、第1に、対象の範囲が変わったことを指摘しています。安保条約は「日本の防衛」と「極東」の安全保障の確保を規定しています。しかし、「新文書」は、日米同盟は「世界における課題に効果的に対処するうえで重要な役割を果している」としました。対象が全世界に拡大されました。

 第2に、条約の理念が変わったことを指摘しています。安保条約では国連の役割を重視しています。これに対して、「新文書」では、「国連」に代わって「日米共通の戦略」を前面に出しました。「日米共通」と言っても、何をするかはアメリカが決めるのであり、国際協調をいうオバマでも変わらないと指摘しています。核兵器を含む先制攻撃さらには予防戦争も辞さない、攻撃的な戦略です。「国家の主権を尊重し既存の政府と協力する必要があるというウェストファリア条約以来の概念を捨て去った」ということであり、「西欧がきづいてきた知性の否定」であるというフランシス・フクヤマ氏(かつてはネオコン政治思想家の代表者の1人)の言葉を紹介しています。 

 氏は、日本は平和を守るための大きな戦略がないと強調しています。氏が掲げる戦略は、豊かな伝統、文化、強い経済と技術力、美しい自然という国際的に最も尊敬され、評価され、極めて有利な地位にある日本を攻撃することはつり合わないということを非軍事的な方法で国際的に知らしめることにあります。長く日本の外交と軍事の中枢にいた氏の、北朝鮮、中国、イラク、アフガニスタン等の情勢に関する具体的な分析を踏まえた冷静なリスク論・平和創造論は傾聴に値します。

【書籍情報】孫崎享著 講談社現代新書 2009年3月刊 本体価格760円+税

<事務局より>
 法学館憲法研究所は、日米安保改定50年に当たり、公開研究会(講演会)を下記により行います。ご参加をお待ちしています。

         記

日 時:2010年5月1日(土)18時−20時半
会 場:伊藤塾東京校
内 容:講演「日米安保改定50年と憲法」 山内敏弘氏(龍谷大学法科大学院教授)
    コメント 浦部法穂氏(法学館憲法研究所顧問・神戸大学名誉教授)
    討論
参加費:1,000円(法学館憲法研究所賛助会員、学生、伊藤塾塾生は500円)
主 催:法学館憲法研究所
後 援:伊藤塾
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