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特集「刑事裁判はどう変わるのか―検証・裁判員裁判」

H・T


 裁判員裁判が始まって3か月余経った昨年11月14日に開催された司法制度研究集会の紹介です。それぞれの立場から裁判員裁判の実態を検証しており、多角的な検討に役立ちます。

 基調報告は渕野貴生教授(立命館大学)による「刑事裁判の原則と『市民参加』」です。被疑者被告人の適正手続を受ける権利の保障という観点から、裁判員制度が持つ憲法的な問題点について検討しています。先生は、公判前整理手続が、実質的な防御権を危うくしていること、証拠開示の不十分さを指摘し、証拠裁判主義に抵触する危険性を強調しています。

 続いて、裁判員裁判を経験した2人の弁護士からの報告です。埼玉弁護士会の法テラスの村木一郎弁護士は、5件の既に起訴されている裁判員裁判を担当している弁護士です。公判前手続が取り入れられる前の状況に比べれば、動き出してからの方がはるかに被告人に有利な弁護活動ができていること、弁護の質による差が裁判官裁判よりも開きやすい傾向があることを指摘しています。神奈川の高原将光弁護士は、以前は法曹3者が一つずつ垣根を作っていたが、裁判員が入ったことによってそれが非常に低くなったこと、公判前整理手続でも3者で裁判員裁判を軌道に乗せようという目標が共有され心の交流のようなものがあると述べています。裁判員を見ていて、日本人の知的レベルは高いと評価しています。

 五十嵐二葉弁護士は、福島地裁郡山支部の殺意を争う事件を傍聴しての報告です。審理時間が少なくタイトになったこと、直接主義・口頭主義になるはずが実態は「調書朗読裁判」だったこと、殺意の有無という争点に絞った公判前手続が機能していなかったことなど、裁判の中身は旧態依然だったと述べています。

 最後は、マスメディアの役割です。毎日新聞の銭場裕司記者は、裁判員に課せられた守秘義務と公判前整理手続が取材にも壁となっている現実をリアルに語っています。丸山重威教授(関東学院大学)は、「メディアは報道の責任を果たしているか」と題する問題提起とともに、劇場化していく裁判への危惧に触れています。

【書籍情報】「法と民主主義」2009年12月号所収 日本民主主義法律家協会発行 1000円+税

連続講演会「日本国憲法と裁判官」第10回(2月4日)では、裁判員裁判を中心にお2人の元裁判官からお話をうかがいます。あわせてご案内します。


 

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