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書籍「尋問の罠――足利事件の真実」

T・S

 足利事件の冤罪被害者・菅家利和さんと二審から弁護を担当した弁護士・佐藤博史さんの共著です。
 お二人が交互に元被告人と弁護人の立場から、事件の経緯やその心境、捜査や裁判の問題点を語ります。
 菅家さんは逮捕当時の自分の気持ちや考え方を語っています。取り調べで嘘の自白させられた経験から、取調室の恐怖を語ります。法廷で無実を主張しても、あとで刑事から怖い目に遭うと恐れていました。弁護士も味方とは思っていませんでした。
 佐藤弁護士が、2審から弁護を引き受けた経緯も、興味深いです。西巻糸子さんたち支援グループの存在がなければ、今の結果にはいたらなかったことが語られます。佐藤弁護士は当初、1審の弁護士から、菅家さんが真犯人と聞いており、無実とは思っていませんでした。DNA鑑定が問題になっている否認事件であること、DNA鑑定の知識が必要であること、そして控訴期限が間近いことから自分が引き受けるしかないと判断したそうです。そして、初めての接見で菅家さんの無実を信じたことを語ります。
 佐藤弁護士も控訴審までは菅家さんについてのDNA鑑定そのものが間違っているとは思わなかったそうです。上告の段階で間違っているのではないかと疑問を持ち、最高裁に再鑑定を請求しましたが、かなわず、上告も棄却されました。
 佐藤弁護士は、この事件の最大の責任は地裁、高裁、最高裁、再審請求の地裁にあるといいます。そして高裁もDNA再鑑定の結果だけで再審を決定し、冤罪の原因を究明せずに、問題を闇に葬ろうとしていると批判します。
 佐藤弁護士は言います。裁判所・検察・科警研は犯罪を犯したと。それは足利事件の真犯人隠避したということです。また、それは、同じDNA鑑定を根拠に否認事件である福岡県の飯塚事件の久間千代年さんが2008年10月に死刑を執行されたことにつながったということです。
 冤罪事件は繰り返されますが、本書での佐藤弁護士の指摘に対して、警察、検察官、裁判官はこの事件をどう考えているのか、聞きたいところです。
 本書は一つの事件を通して、日本国憲法で保障されている被疑者の権利などが守られていない事実を浮き彫りにしています。

【書籍情報】菅家利和 佐藤博史著 角川書店 2009年9月刊 本体価格705円+税

 

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